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Information / 国会議事録一覧

予算委員会で質問に立ちました。(令和4年2月18日 議事録)

○玄葉委員                                                                                                          玄葉光一郎です。                                                                              コロナ禍にあって明確に分かったことの一つは、職種によりますけれども、私たちの仕事の一定部分はリモートであるとかオンラインであるとかで代替できるということだと思います。                                                こういったことを踏まえて、ポストコロナあるいはアフターコロナということを考えてまいりますと、いわゆる地方分散といった空間的な分散だけではなくて、住まい方、働き方、もっと言えば生き方も含めた分散、そういう意味では、新しく多様な分散型社会というものを私はつくり上げていかなくてはいけないのではないかというふうに考えています。                                                                                        軌を一にするように、何と、東京二十三区、転出超過になりました、昨年。今までずっと転入超過だったわけですけれども、転出超過に変わりました。この機会を捉えて、政策転換をしてでも、私は、政府はこの流れを後押しをすべきだという観点で午前中は質問させていただきたいというふうに思います。                                      コマツ建機という立派な会社がございますけれども、東京から石川に本社を移した、そのときのデータをよく坂根会長がお示しされます。つまり、移ってみてデータを取った。三十歳以上の社員、結婚率が増加した。東京では五〇%、石川県では八〇%だそうです。生まれた子供の数、東京都では平均〇・九人、石川県では一・九人だそうです。分かりやすいと思うんですね。                                                                  出生率とか健康寿命とか、場合によっては格差の縮小とか幸福度合いだとか、そういったことを考えても、私は、今の大都市集中型の日本を是正して、新しい分散型の社会というものをつくり上げなければならない、こう考えています。

そこで、岸田総理、まずはこのことについての評価をしっかりさせたいと思います。                                        グラフをお示しをしましたので見ていただきたいんですけれども、何と、東京圏への流入超過が、二〇一一年と比べると、二〇一九年、二・五倍になりました。                                                                   実は、地方創生担当大臣が設けられて、転出と転入を均衡させる、ゼロのところまで持っていくというのが元々の大きな目標だったんですよ。御承知のとおり、二〇二〇年と二一年は、これはもうコロナ禍だから、政策効果でこうなったんじゃなくてコロナ禍だから一気に減ってきているんですけれども、逆の方向に向かってしまったということに対するまず反省がないとこの問題は進まないと思いますので、この点についての評価をまず問いたいと思います。

○岸田内閣総理大臣                                                                              御指摘のとおり、東京圏への転入超過、これが続いてきました。これは様々な理由があるものの、結果として転入超過になってきたということについては御指摘のとおりだと思います。                                       そして、これも委員が御指摘のように、コロナ禍の中で、私たちは改めてデジタルとかリモートについて思いを巡らし、働き方や生き方についても様々な意識変革が起こっているということなんだと思います。こういったときを捉えて、是非、改めて、地方のありよう、地方の創生、地方の活性化、こういったものについて考えていかなければならないと私も強く思っています。                                                                そして、だからこそ、デジタルということを考えましても、地方にこそデジタルによって変わる様々な課題やニーズがあるんだということから、デジタル田園都市構想というような構想を訴えさせていただきまして、この意識改革を具体的な地方創生の結果につなげていきたいということで取組を進めさせていただきたいということを申し上げている次第であります。

○玄葉委員                                                                                       私、これは率直に申し上げると、トップである総理の強い意思と強い覚悟がなければ、やはりこの問題はブレークスルーはできないと思うんです。                                                                  地方創生担当大臣まで設けて、取組はしてきたんです。だけれども、やはり本気じゃなかったと思う。だって、総理はそんなに替わらないのに、くるくる担当大臣は替わってしまった。今、七人目ですよ。本気じゃないと思う。強い意思と覚悟を持つことだと思います。                                                                             私は、新しい分散型社会をつくり上げるために必要なことということで、ここに八つお示しをいたしました。これを一つ一つやっていると、これだけで質問時間が終わってしまいます。ですから、二、三だけ取り上げたいと思いますけれども。                                                                                例えば、この二つ目の、情報インフラの地方優先整備というのも、今、岸田総理がまさにおっしゃった、デジタル田園都市整備構想だ、こうおっしゃっているんですけれども、そこまでおっしゃるなら、もし私が岸田さんの立場だったら、今東京から整備が進んでいますけれども、むしろ地方を優先して、地方から整備する、そういう逆の発想をしませんか。そのくらいでないと、この問題、流れが変わっていかないんですよ。どうですか。

○岸田内閣総理大臣                                                                               委員の御指摘、私は全く同感であります。                                                                  だからこそ、デジタル田園都市構想を進めるに当たって、地方にこそデジタルインフラ、これを整備しなければいけないということで、5Gですとか、光ファイバーですとか、海底ケーブル、地方にこそ率先してしっかりと整備していくべきである、これを従来から申し上げているところであります。                                                 そういった基盤に立って、是非地方において、それぞれの個性を生かした生活や働き方をその上に乗っけていただけるように進めていかなければいけない。だからこそ、このインフラ、デジタルインフラが大事だということを再三申し上げているところであります。

○玄葉委員                                                                                    同感なら、是非地方から整備してもらいたい。                                                            つまり、今、東京で私も5Gを使っていますよ、携帯電話。5Gが使えますけれども、地方に、地元に戻ったら使えないですよ。これは、AIだとか、遠隔医療だとか、eスポーツだとか、そういった分野にこれからどんどん活用できますから、せめて、岸田総理、全国で同時に実施できるぐらいにはしてくださいよ。私、もっと先を見据えて、6Gのときには絶対に地方からそうすべきだと思っているんです。やはり、そういう発想を政治家が行うということが大変大事だと思います。                                                                         時間の関係で次に行きますけれども、大学、あるいは企業の本社、あるいは中央省庁外局、こういった地方移転は力仕事です。担当大臣だけでは絶対にできません。                                                      大学はなかなか大変だと思います、経営上、これから子供は減っていくから。都心回帰しているんですね。でも、私は、私立大学の学部レベルでいいと思います。学部レベルでもいいから、国家プロジェクトとして地方分散を進めるべきだと思うんです。これは、地方創生の、どうも、ある有識者会議ではこういう議論があったそうですよ。結局、断念した。                                                                        これも総理の意思なんですよ。いかがですか。

○岸田内閣総理大臣                                                                          まず、先ほどの議論の中で、地方こそインフラ整備を率先して行うべきであるということについて、私も同感だと申し上げたわけですが、これは、今年度中に新たな整備計画を策定して、具体的な整備目標を定めて、強力に推進していきたいと思います。                                                                       その際に、過疎地などの整備においては、補助金や税制などの支援措置があります。すなわち、地方にだけそういった支援措置はしっかり用意するという形で、より地方においてそういった取組が進むことを推進していきたいと考えています。                                                                           そして、今、地方の大学、教育施設についての御指摘がありましたが、そういったインフラがしっかり整備されることが、様々な、大学を始めとする施設が地方において生き生きと活躍する上においても重要であると思います。こうしたインフラ整備を率先して進めた上で、御指摘のような、大学を始めとする地方の創生の中核になる施設の整備にも取り組んでいきたいと考えております。

○玄葉委員                                                                                  私、予算委員長の根本さんもそうですけれども、郡山に日大の工学部というのがあるんですけれども、工学部という一つの学部があるだけで全然違いますね。                                                            ドイツがそれぞれ地方都市が豊かだ、多くの国がモデルにしたいと思うのは、やはり大学と企業本社の存在だと思うんですね。むしろ、地方に学部だけでも移転した方が私学助成上有利だというぐらいの財政上の仕組みをつくったらいかがでしょうかね。                                                                                もっと言えば、企業本社の移転税制だってありますけれども、小出し、ちまちましていますよね。今年やらなくて、いつやるんですか。組み替えたいぐらいだね。この二十三区で転出超過に初めてなったんですよ、去年。このときを捉えて、企業本社の移転税制を大胆に仕組む、当然のことじゃないですか。

○岸田内閣総理大臣                                                                                       御指摘の、大学、企業、さらには政府機関の地方移転、これについては、政府としましても、しっかりと取り組んでいきたいと考えます。                                                                                サテライトキャンパスの設置に向けた地方公共団体と大学のマッチング、こうしたものにも支援を行っておりますし、中央省庁七機関、研究機関、研修機関等二十三機関、五十件について、令和四年度までに移転先での業務を開始することとしております。                                                                         そして、制度としましても、企業版ふるさと納税の制度も活用し、令和六年度中に千の地方自治体がサテライトオフィスの整備等に取り組むとの目標を掲げ、地方での雇用創出や地方への人の流れ、これを加速していきたいと考えます。

○玄葉委員                                                                                          午前中、時間がありませんので終わりますけれども、転換点になるかもしれない大チャンス、このときに首相を務めておられるのが岸田総理ですから、この機を捉えて、是非仕掛けてください。午前中、このことをまず申し上げます。  以上です。

○根本委員長                                                                                      休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。玄葉光一郎君。

○玄葉委員                                                                                          午前に引き続きまして質問をさせていただきます。玄葉光一郎です。                                                  午後は、外交、安全保障、特にウクライナの情勢、そしていわゆる敵基地攻撃論について、さらには福島の復興の問題について質疑させていただきたいと思います。                                                                  まず、ウクライナの情勢でありますけれども、昨晩、日ロ首脳会談、岸田総理、プーチン大統領、電話で行ったということでありますけれども、その中で、ロシアがウクライナに軍を進めた場合の経済制裁については意見交換をなされたんでしょうか。

○岸田内閣総理大臣                                                                                         昨晩の日ロ電話首脳会談においては、当然のことながらウクライナ問題が主要な課題であり、それについてロシア側も日本側もそれぞれの立場を表明しましたが、基本的にこの問題は外交手段を通じて解決するべきであるという点で一致した上で、それを基本としながら意見交換をしたというのが実情でありました。

○玄葉委員                                                                                        私、懸念していることがやはりありまして、日本側が出すメッセージが少々曖昧になっているのではないか、ロシア側に果たして正しく伝わっているのかどうかということについて、私、若干懸念があるんです。                                  というのは、一つは、今のお話だとはっきりはおっしゃいませんけれども、昨日も経済制裁のことはお話しにならなかったということだと思います。あるいは、二、三日前は、制裁の検討を国際社会で行っているにもかかわらず、経済協力の話を閣僚同士でする。やはりそのメッセージ、対話は私否定しませんよ、もちろん。対話することは否定しませんが、タイミングも含めて、果たしてメッセージの伝わり方が、正しく伝わっているのかどうかということなんですけれども、いかがですか。

○岸田内閣総理大臣                                                                                 先ほど、この問題については外交交渉を基本としながら緊張緩和に向けて努力するべきだということを基調として議論をしたと申し上げましたが、当然のことながら、我が国の考え方、ウクライナをめぐる情勢、これは、欧州にとどまらず、アジアを含む国際社会の秩序に関わる問題であるという問題意識、こういった問題意識を持って、重大な懸念を我が国として持ち、注視しているんだという基本的な立場、さらには、力による現状変更ではなくして、外交手段を通じて関係国がしっかり受け入れられる解決策を模索するべきであるという考え方、これはしっかりと伝えたという電話会談でありました。                                                         おっしゃるように、国際社会に間違ったメッセージが伝わらないように、我が国の立場、これはしっかりと、はっきりと相手に伝えていくことが重要であると考えています。

○玄葉委員                                                                                                私も、一度だけですけれども、ソチでプーチン大統領と会談したことがございます。強い対米不信感をお持ちだなというのがそのときの印象です。                                                                       恐らく、プーチン大統領からすれば、後ろを振り返ったらば、ついてきたのはウクライナ、残っているのはウクライナとベラルーシだけだみたいな感覚がきっとあるんじゃないかなというふうに想像します。ただ、それは、それだけロシアが東欧を引きつけることができなかったということだと思います。                                         それで、軍を進めるということになれば、明らかにルール破りということになります。ルールによる秩序というものを最重要視している日本としては、かなりしっかりとした措置を、そうなれば取らざるを得ないというのが私の見解です。                                                                                            私が心配している理由はもう一つあって、二〇一四年のクリミア併合のとき、あのとき外務大臣は岸田外務大臣だったと思います。あの当時の総理の思いもあったのかもしれませんけれども、一言で言えば、形ばかりの制裁で終わっているんですね。                                                                     メッセージが明確じゃないと、ロシア側からしたときに、また同じようにしてくれるんじゃないか、こんなふうに伝わってしまったら、いわゆるロシアの軍事侵攻に対する抑止効果はもう全くないということになってしまう。                           だから、ちょっと曖昧過ぎないかな、もっと分かりやすい明確なメッセージをロシア側にも伝えた方がいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、クリミア併合のときと比べて、岸田総理、当時外務大臣であったわけですけれども、何がどう違うとお考えですか。

○岸田内閣総理大臣                                                                                     二〇一四年のクリミア併合当時の国際情勢、委員も私の前任の外務大臣でいらっしゃいますので、そのときの状況を記憶されておられると思いますが、当時と今の国際情勢、これは随分と変化をしている、異なっているということは基本的に強く感じています。                                                                 また、我が国を取り巻く安全保障環境、あの当時と比べましても一段と厳しさを増していると認識をしていますし、何よりも米中の競争の激しさ、これは二〇一四年当時とは比較にならないほど激しいものがあるということであります。                                                                                    その中で、今回の問題にどう対応していくのか。まずは、基本的には、外交交渉を通じて緊張緩和に向けて努力をしなければならないと思いますが、いずれにせよ、こうした状況の中で、我が国としましては、G7を始めとする同盟国、同志国との関係、国際社会との連携、これはより強く意識しながら適切な対応を考えていかなければならない、これが我が国の立場であると考えます。

○玄葉委員                                                                                   そうすると、確認ですけれども、当然ながら、二〇一四年の状況とは違うので、仮にですけれども、もしロシアが正規軍をウクライナに進めるみたいなことがあれば、クリミア併合のときとは違った厳しい対応を取ることになる、こういうことでよろしいですか。

○岸田内閣総理大臣                                                                           実際に事態がどう変化していくか、これからどう展開していくか、これは今の段階で予断を持って申し上げるのは控えなければならないと思いますが、状況の変化に応じて、G7を始めとする国際社会との連携をしっかり大切にしながら対応を考えていかなければならない、これが基本的な立場であると思っています。

○玄葉委員                                                                                        クリミア併合のときとは全然違う、こういうことでよろしいですね。

○岸田内閣総理大臣                                                                       様々な意味で、様々な条件が異なっています。その中で、我が国として、国益をしっかり念頭に置きながらも、国際社会との連携をどうしていくのか、適切な判断をしていかなければならないと考えます。

○玄葉委員                                                                                             次に、いわゆる敵基地攻撃論であります。                                                                この問題は、しっかりと、かつ整理しながら、現実を踏まえた議論をしていくことが肝要だというふうに思います。幾つか確認をしたいと思います。                                                                        岸田総理、この間、敵基地攻撃能力の保有を含め、あらゆる選択肢を検討していくんだ、こういうことをおっしゃっているわけですが、岸田総理のおっしゃるいわゆる敵基地攻撃論の核心というか本質というのは何だとお考えになってこの議論を進めようとしているのか、お話しいただけますか。

○岸田内閣総理大臣                                                                                  いわゆる敵基地攻撃能力と言われる議論でありますが、この議論は、昭和三十年代から続く、長い歴史のある議論であります。ただ、昭和三十年代と比べて、ミサイルをめぐる技術一つ取りましても大きな変化が生じています。まさに現代的な議論でもある、重要な議論であると思っています。                                                そして、本質は何かということでありますが、ミサイルをめぐる技術は大きく変化し、進化をしています。その中にあっても、政治の立場で国民の命や暮らしを守る、これは最大の課題であり、こうしたミサイル技術を始め様々な環境変化の中で、国民の命や暮らしを守るためには、あらゆる選択肢、これを排除することなく議論をしていかなければいけない。現実的に国民の命、暮らしを守るために何が求められるのか、こうした冷徹な、現実的な、そして冷静な議論を行っていかなければいけない。これが本質であると思います。その一つの選択肢として、いわゆる敵基地攻撃能力の議論もあるんだと認識をしております。

○玄葉委員                                                                               もちろん、この本質とは何かとか核心とは何かと聞かれたら、いろいろな答え方はあるんだと思います。ただ、仮に私が聞かれたら、私は抑止力の強化だというふうに答えると思います。                                           というのは、結構この議論は注意が必要で、今、岸田総理がおっしゃったとおり、古くて長い議論だと。常に引用されるのは、昭和三十一年の鳩山一郎首相の答弁ですよね。何回も何回もこの場で取り上げられる。つまりは、誘導弾などの基地をたたくことは法理的に自衛の範囲だ、あるいは、誘導弾攻撃が行われた場合、座して死を待つべしというのが憲法の趣旨ではないとか、こういう議論になるわけです。                                         この議論はいわば第一撃の議論ですよね。先制攻撃は国際法上も認められていませんけれども、国際法上も憲法でも認められている、いわゆる第一撃の議論じゃないですか。でも、今私たちが特に問題としたいのは、たたかれる前にたたくということよりは、結局、たたかれたらたたく、こういう議論なんだと思うんですね。このことを、私、結構明確に分けて話していかないと、この議論はかなり混線すると思っているんです。                               ですから、私は、この敵基地攻撃論を議論するときに、これはむしろ、第一撃のためというよりは、抑止力強化のための議論ですということをはっきりさせて、これは一つの提案ですけれども、議論していくのがよいと思うんですけれども、総理大臣、いかがお考えですか。

○岸田内閣総理大臣                                                                            いわゆる敵基地攻撃能力という議論、長い歴史の中で、おっしゃるように様々な議論が行われ、そして変化をしていきました。そして、今も様々な議論があります。                                                             しかし、再三強調させていただいているのは、どんな議論を行うにしても、憲法、あるいは先制攻撃を始めとする国際法、さらには日米の基本的な役割分担、こうしたことについてはしっかりと念頭に置きながら、こうしたものはしっかりと我々の大事な考え方として守っていきながら、具体的な議論をしていかなければならないということを申し上げています。                                                                         さらに、具体的な議論については、引き続き議論を詰めていかなければならないと思いますが、基本的な国際法や憲法、あるいは日米の役割分担、基本的な役割分担に対する考え方、これは、国民の皆さんに丁寧に説明しながら、国民の皆さんの理解を得ていく努力は重要であると考えます。

○玄葉委員                                                                                       午前中もこの問題、議論があったと思うんですけれども、敵基地攻撃能力あるいは敵基地攻撃論を第一撃も含めて議論し出すと、何かおどろおどろしくなっていくんですよ。私はその懸念を強く感じます。ですから一つの提案をしているんですけれども。                                                                    そもそも、第一撃といったって、かつてと違って、それは議論にあちこちでなっていますけれども、相手国からミサイルを発射するときに、ほとんど移動式ですから、なかなかキャッチするというわけに現実にいかない、もう技術的に困難だ、そういう時代に完全になりましたね。そう考えたら、もう第一撃の議論というよりは、これはむしろ、たたかれたらたたく、抑止力を強化するための議論なんですとはっきりさせないと、なかなかこの議論は私は前に進まないのではないかと心配しているんですけれども、いかがですか。

○岸田内閣総理大臣                                                                                      いわゆる敵基地攻撃能力の議論は、我が国の国家安全保障戦略を改定する議論の中で議論を進めていきたいと申し上げておりますので、今ここで私の考え方を断定的に申し上げるのは控えなければならないと思いますが、私も外務大臣を務め、特に平和安全法制の議論、担当大臣としてこの議論の先頭に立った経験から、国際法に対する考え方を随分勉強した経験がありますが、国際法の中で、先制攻撃という議論、これは大変難しい議論であり、学説によっていろんな解釈があり、また、現実には国によって先制攻撃についていろいろな解釈がある、こうした難しい議論であるというのは十分承知をしています。                                              こういったこともしっかり考えた上で、我が国において国民の命や暮らしを守るために必要とされるものは何なのか、これは、これからしっかりと議論を深めていきたいと考えております。

○玄葉委員                                                                                                 なかなか慎重な答弁でございまして、率直に言えば、いわゆる政府の全体の、有識者等の様々な検討を受けて具体的に議論したいというような趣旨だと思いますが。                                                            岸防衛大臣、例えば、中台、台湾海峡の問題があって、台湾はミサイル防衛の措置をもちろんしておりますけれども、PAC3とかをたくさん持っていますけれども、併せて国産の巡航ミサイルを持っています。ランチャーも、発射装置も十数基たしかあったと思います。これはいわゆる敵基地攻撃能力だと思います。                          この台湾の敵基地攻撃能力というのは、相手国に対して抑止力として十分に機能しているというふうにお考えですか。

○岸国務大臣                                                                                台湾の情勢、今非常に厳しいところもあると思います。台湾海峡の軍事バランスも非常に中国側に傾いていて、その差も非常に毎年毎年広がっているような状況にあるんだとお伺いしております。                                 台湾自身が自身の防衛のためにどのような装備をどのように使うかということは、我々の立場からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っております。                                                                      いずれにいたしましても、我々としては、台湾の、中台の情勢につきましては、当事者間の平和的な解決を期待しているところでございます。

○玄葉委員                                                                                      それはなかなか答えられないというのは分かって聞いたんですけれども。                                           結局、この議論をするときには、当然ながら、抑止力の強化が私は本質だと思っているので、抑止力たり得る装備体系とかオペレーションというのは一体何なんだ、それを日本側がどの程度持つのか、アメリカと合わせて全体としての抑止力をどの程度のレベルにしていくのか。当然、お金はかかります。そういうことも含めてトータルとして、本当に冷静に熟議をしていかないといけない問題だということを今日は指摘しておきたいというふうに思います。                                                                                 私も、中台の台湾海峡の問題は、二十一世紀の地域紛争の中で最も抑止しなければならない地域紛争だというふうに思っています。

さて、最後、残り五分でございますけれども、福島の復興の問題を取り上げさせてください。                                   一番、福島の復興の大前提というのは、福島第一原発の着実そして安定した廃炉ということになります。この廃炉、何としても、何年かかっても、確実にやり遂げなければならない課題になります。そのために、果たして資金は大丈夫なんだろうか、あるいは、国の専門組織が必要なのではないか、廃炉の完了とは一体何を指すのか、最終的なきれいな更地にするのかなど、かなり議論しなければならない課題があります。                                              一番心配なのは息切れです。恐らく三十年では終わらないでしょう。四十年、五十年、六十年かかるかもしれない。もっとかかるかもしれない。そうすると、いずれそのための立法措置も必要になるのではないかと思っていますけれども、事前に通告しておりますので、岸田総理としてどういうふうにお考えになっておられるか、お尋ねをしたいと思います。

○岸田内閣総理大臣                                                                                                                         福島第一原発の廃炉については、着実に遂行していかなければならない重要な課題であると考えます。                               このため、原子力災害対策特別措置法に基づいて、私自身が議長を務める原子力災害対策本部の下、関係省庁や原子力損害賠償・廃炉等支援機構等が連携し、日本の総力を結集した体制で進めているというのが現状であります。                                                                            そして、この資金ということについても御指摘がありましたが、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法で定められた廃炉等積立金制度に基づき、長期にわたる廃炉等に要する資金を確保するための仕組み、これも構築してあります。こうした法律あるいは制度、これをしっかりと稼働させ、進めることによって廃炉を進めていくというのがまず大事であると考えております。                                                              そして、今後も、福島の復興のために必ず廃炉は成し遂げるという強い決意の下、国が前面に立って、中長期ロードマップに基づき、取組を進めていかなければならないと考えます。

○玄葉委員                                                                                    ALPS処理水の海洋放出、この問題でありますけれども、IAEAの調査団が入って、大いに科学的知見を披瀝していただいて、国際社会に発信してもらいたいと思うんですが、それだけではなかなか解決しないのがこの風評被害の問題だというふうに思います。                                                            この風評被害を解決するのには、何回か提案しているんですけれども、福島以外でも幾らかでも処分するか、トリチウムとの分離というのを本気で考えるか、どっちかだと思うんです。                                        トリチウムの分離については、直ちに実用化できないと言っているんですが、私、子細に検討していくと、勉強していくと、どうもできるんじゃないかという気がしますね。できるんだけれども、通常の原発でもやれと言われたり、いろいろなコストとの兼ね合いで、今のところやらないという判断をしているんじゃないかという思いもあるんです。                                                                                    これは、もし分離の技術が出てきたら積極的に活用するという約束を、総理大臣、この場でしていただけますか。

○岸田内閣総理大臣                                                                                                                                 御指摘のトリチウム分離技術については、過去に国費を投じて実証試験を実施しておりますが、その際に、専門家からは、実用化できる段階にある技術は確認されなかったとの評価がされていると承知をしています。また、IAEAにおいても同様の認識を示していると承知をしています。                                                            ただ、こうした技術の議論というのは、これは絶えず進化が考えられるわけですから、こういった技術における様々な取組、これはフォローはしていきたいと思っています。                                              ただ一方で、現実問題、今、敷地が逼迫をし、廃炉、復興のため、早期に処理水の貯水タンクを減らしていかなければいけない、こういった厳しい現実もあるわけでありますので、政府としては、この現実的な対応、今申し上げている対応をしっかり進めていくことも重要であると認識をしております。

○玄葉委員                                                                                     もう時間なので終わりますけれども、これは私、スペースを空けるためにも、分離できれば希釈しなくていいんですよ、薄めなくて。そうすると早くスペースができるんですね。だから、これは併用することも可能ですから、ちょっとよく頭に、今の間に入れておいていただいて、後々この質疑が生きる可能性がありますので、是非覚えておいていただきたいと思います。                                                                   終わります。ありがとうございます。

 

 

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