衆議院議員 玄葉 光一郎(げんば こういちろう)の公式ウェブサイトです

本文とグローバルメニュー・サイドメニュー・フッターへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

玄葉光一郎事務所 Koichiro Gemba Official web site

お電話でのお問い合わせ

東京都千代田区永田町2-2-1衆議院第一議員会館819号室 

ともに乗り越える。

本文のエリアです。

国会議事録一覧

武力攻撃事態への対処に関する特別委員会(平成15年5月14日 議事録)

〇玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。昨年、この委員会の初日に、私は質問に立たせていただきました。そのときに、冒頭申し上げたのは、緊急事態に関する法整備は必要だ、ただ問題は、政府案のできばえだ、こういうことをあのときに申し上げたわけであります。政府案を見ますと、例えば基本的人権に関する規定が十分でなかったり、あるいは民主的統制に関する規定が十分でなかったり、さまざまな問題点があったわけであります。同時に、質疑、審議の中でもそういうことが浮き彫りになってきたわけであります。そこで、今回、私たち民主党としては、具体的に対案という形でお示しをいたしました。今回、与党三党と民主党が修正案で合意をしたということは、私は率直に言ってうれしいという思いであります。今回の修正案は、百点満点では私はないと思う。ただ、八十点ぐらいの合格点をつけることができるんじゃないかというふうに思っています。うれしいというふうに申し上げたのは、ここにもいらっしゃいますけれども、昨年、伊藤英成委員と一緒に理事をさせていただいた立場もあります。また同時に、実は、今思えば、今の民主党ができる前の古い民主党のときに、私は当時、与党を三年経験した後、野党になったんですね、旧民主党で外務の部会長を私が担当させていただくことになりました。ここにいらっしゃる前原委員が安保の部会長という立場でありました。そのときに、我々は、これから安全保障という国の根幹にかかわる議論、これを神学論争に終わらせないで戦略論争にしていこう。国の中で安全保障の根幹について大きく対立するということは、日本の国益を考えたときによくないだろうということを思いながら、実は我々活動してきたわけであります。そういう意味で、私は一定の感慨があるということを申し上げたわけであります。今回、民主党の主張をかなりの部分受け入れていただいたというふうに思っていますけれども、総理としては、これまでの修正案ができ上がる一連の経緯、あるいは今回の修正案に対してどのような考えを持っておられるか、まずお伺いをしたいと思います。

〇小泉内閣総理大臣 私は、かねてより、国家の基本的な問題、いわゆる安全保障に関する問題とか外交政策に関する問題、この点につきましては、与党でも野党でも、ある程度共通の意識を持った方が望ましいという立場に立っておりました。だからこそ、昨年、この有事関連法案を提出した際にも、できれば、できるだけ多くの政党から賛成を得ることができるような状況で成立させてほしい、与党の皆さんにもそのような要請をしていたわけでございます。そのような経過を経て、この一年間、真剣な論議が積み重ねられてまいりました。そして、昨日、与党三党、そして民主党、菅党首初め幹部の皆さんと協議をした結果、合意を見たということは、今までの与野党対決の法案と言われていたこの有事関連法案を見た場合、画期的なことではないか。特に、安全保障の問題につきましては、過去の経緯を見ましても、日本の防衛、安全をどのように確保するかという問題については、常に与野党激しい対決の形が当たり前ではないかと見られていた状況の中で、現在の国際情勢を考えながら、まず日本の国民の安全、国家の平和と独立をどのように図っていくかという点については、やはり対決ばかりではいかぬ、共有の認識を持とうではないかという雰囲気の中で、このような合意がなされたということは望ましいものだと思っております。今後、私は、どの政党が政権をとろうとも、国家の安全保障を図るという場においては、党利党略よりも、国家の利益をどのように図っていくか、国民の安全をどのように確保すべきがいいかという観点から論じるという点において、野党でありながら民主党としても、真剣にこの問題について、是々非々で臨もうという態度を示されて、お互い譲るべきは譲ろう、取り入れるべきは取り入れようという形で進展を見て、今日の経過に至ったということに対しましては、敬意を表したいと思います。関係者の間で、連日連夜にわたりまして熱心な協議が行われた。そういう中で、このような形でお互い歩み寄りができた。そして、安全保障の問題につきましても、今後共通の土俵の立場に立って議論ができる場が確保されたという意味において、大きな前進ではないかと思いまして、努力された方々、与野党の皆さんに対しまして、敬意を表したいと思います。

〇玄葉委員 この委員会でもよく例として出されましたけれども、ドイツなどは、ドイツ基本法あるいは非常事態法をつくるときには、超党派合意ということでございました。今、総理がおっしゃいましたけれども、まさに、どちらが与党であっても野党であってもということじゃないかというふうに思います。後ほど法律については質問をさせていただきますが、その前に、一つ、今回の緊急事態に係る法制が、国民の理解という意味で、私は広がっていった側面があると思うんですね。その背景の一つは、一つではありますけれども、やはり北朝鮮情勢というのは否めないのではないかというふうに思いますので、北朝鮮の問題に対する日本の政府の取り組みについて、一言議論したいというふうに思います。まず、日本の政府の北朝鮮問題に対する対処方針、基本的な考え方というものを伺いたいと思います。

〇川口国務大臣 総理が、昨年九月、ピョンヤンに行かれて、日朝平壌宣言を署名なさいました。我が国としては、日朝平壌宣言に従いまして、交渉によって核問題を含む安保問題、そして拉致問題、そういった日朝間の諸懸案を包括的に解決をしまして、北東アジア、この地域の平和と安全に資する形で日朝国交正常化を実現していくというのが基本的な方針でございます。これに変わりはございません。そして、このことが北朝鮮の利益になるのだということを北朝鮮側に理解をさせるということが重要であると考えております。具体的に進め方としましては、今後、二国間、あるいは近隣の韓国、中国、ロシア、そしてもちろん米国といった国々との連携をとりながら、また国際機関といったところとも協力をしながら外交努力をしていくということによりまして、北朝鮮が国際社会の責任ある国として行動をするようにやっていきたい、働きかけていきたいと考えております。

〇玄葉委員 確認の意味を込めてお聞きをしたいんですけれども、日本の政府としては、この北朝鮮問題のゴールの設定といいますか、望むべきシナリオというものをどういうふうに描いて外交を積み重ねておられるのかということであります。例えば、例えばですけれども、南アフリカのように北朝鮮が核を廃棄して、拉致の問題も解決をされて、中国なんかを参考にして改革・開放に進んでいく、そういう北朝鮮になってもらうことを望むべきシナリオとして、外交交渉として進めているのか。あるいは、例えばかつての東ドイツのように、いわば、こういう言い方が適当かどうかわかりませんけれども、自然崩壊していくような形、そして、朝鮮半島でいえば韓国に吸収されていくような姿、そこには体制の転換というのがあるわけですね。前者なんかは、今の体制を是とするかどうかはともかくとして、今の体制のままの政策転換を基本的に考えているということだと思いますけれども、後者はそうじゃないですよね。今の体制は壊れるわけですよね。まさか、恐らく、軍事オプションといいますか、軍事力行使によってハードクラッシュといいますか、北朝鮮を崩壊させるんだ、こういう路線もオプションとしてあるのかどうかわかりませんけれども、どういうゴールの設定をされているのかなということなんですが、総理、いかがですか。

〇小泉内閣総理大臣 まず、ただいま外務大臣が話されたように、昨年、北朝鮮と日本との間、あるいは金正日氏と私との間で交わされました日朝平壌宣言、これにのっとって日本と北朝鮮の国交正常化に向けた努力を行うということでありますが、その際、今玄葉議員御指摘の、現体制を壊さないとだめなのかという議論と、現体制のままで関係正常化を望むのかという議論は、今までたびたびいろいろな場面で議論されてきたところであります。日本としては、現体制が一日も早く国際社会の責任ある一員になってもらいたい、そういう前提で交渉を進めております。これは、拉致の問題、核の問題、過去、現在、将来の問題、これを包括的に、総合的に解決して初めて日朝国交正常化は成るんだという、これが日朝平壌宣言でありますので、その方向でこれからの話し合いを進めていきたい。だからこそ、イラクに対する対応と北朝鮮に対する対応は違うんだということを、私は各国首脳にも話しているところでございます。この問題につきましては、アメリカのブッシュ大統領を初め各国とも理解をし、支持を表明しております。今後とも、私は、一日も早く現在の北朝鮮の指導者が国際社会から孤立せずに、日朝平壌宣言にのっとって多くの懸念を払拭する、そして、友好関係を各国と保持することが北朝鮮にとって最も利益になるんだということを粘り強く、日本のみならず関係諸国とともに働きかけていくことが重要だと思っております。

〇玄葉委員 このゴールの設定で、私、いろいろそれこそ手法が変わってくると思うので、あえて確認の意味で、そうだろうというふうには思いましたけれども聞いたんです。ただ、考え方によっては、いや、あくまで自然崩壊を考えていた方がコストが安くて済むんだという考え方だって現実にあるのはあるわけですし、一つの有力なオプションとなり得るわけであります。そのためには逆に正常化を急がない方がいいという人だっているわけで、まさに、さっき戦略論争と言いましたけれども、そこで考え方が変わってくるわけです。そこで、私、まだ少しわからないのは、先ほど外務大臣が平壌宣言ということを言いましたけれども、平壌宣言ということをいつも総理もおっしゃるわけですね。ただ、北朝鮮を見ていると、多くの人が指摘をしていますけれども、例えばウラン濃縮プログラムを、みずからその追求を認める、こういうこともあった。あるいはイエメンにミサイルを輸出した、こういうこともあった。あるいはNPT脱退、こういうこともあった。もっと言えば、どうも核の再処理、燃料再処理が完了したなんという情報もある。こういうふうになってくると、あの平壌宣言を読みましたけれども、これは、少なくとも宣言に反することというふうにだれが見ても言えるのではないかと思いますけれども、いかがですか。

〇小泉内閣総理大臣 これは、今御指摘のように、日朝平壌宣言は破綻しているじゃないかという議論があるのも事実でございます。しかし、過去の北朝鮮側の言動を詳細に検討してみますと、表面的な言いぶりと、実際考えていることといいますか真意、こういう問題について慎重に見きわめる必要があるというのも、私は必要ではないかと思っております。今、黙っていれば北朝鮮の現体制は崩壊する、あるいはそのときを待った方がいいのではないかという議論のあるのも事実でございますが、これは、それぞれの考え方はありますが、崩壊した後、ではどういう体制が生まれるのか、どういう状況が生まれるのかということを考えると、なかなかはっきりとした見方も出てまいりません。私どもとしては、この日朝平壌宣言につきまして誠実に履行するように働きかけていかなきゃならないと思っておりますが、一方では、もう既に誠実に履行していないじゃないかという議論があるのも承知しながら、この日朝平壌宣言を守ることが北朝鮮にとって最も利益になるんだということを、日本のみならず、韓国、アメリカと緊密な連携のもとに、中国やロシア、あるいは関係国際機関とも協力していくことが望ましいんだということについては、韓国も、アメリカも、また中国も、ロシアも、またEUの諸国も、この私の説明に対して理解と支持を表明しております。私は、既に破綻したからもう御破算だという考えではなくて、この問題につきましては、まだ希望と期待を持って北朝鮮に働きかける余地は十分にあるのではないか。また、それが現実的ではないかというふうに考えておりますからこそ、既に日朝平壌宣言は破綻しているからもうやめろという議論にはくみせず、この誠実な履行に向かって働きかけていく必要がある。表面の北朝鮮側の言いぶりあるいは挑発に乗らないで、冷静に慎重に対処していくことが必要だと思います。また、これが、今の日本の北朝鮮に対する政策として、政府の一致した見解であるということを御理解いただきたいと思います。

〇玄葉委員 一度両首脳で交わされた紙をいわばツールにするというかてこにするというその意図は、私もわからないではないんです、率直に言いまして、そういう現体制の政策転換を求めていくという路線をとるとすれば。ただ、別に言質をとりたいわけじゃないんですけれども、先ほど申し上げたような北朝鮮の行動が平壌宣言に明白に違反している、これはそうですね。

〇小泉内閣総理大臣 これもはっきり言えないんですね。確認するすべというものがまだ明らかでない。それぞれ言いぶりがあります。破綻しているではないかということはありますが、これまたはっきり言えないところが、これまた難しいところなんですよ。そういうところも、微妙な言い分なりニュアンスがありますので、その辺は各国とも慎重に真意というものを分析調査しなきゃならぬ。そこが私が言っている、表面的な言いぶりと真意というものを十分に調査分析しなきゃならないと言っているところでございます。

〇玄葉委員 さっきも申し上げましたように、それをツールにするんだというその意味は、私はよくわかるんですよ、そういう路線で行くんだったら、そうだろうなと。ただ、別にそこは憶病にならずにおっしゃったらいいと私は思うんですよ。平壌宣言は、双方は、国際法を遵守する、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認したと。同時に、「朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。」と。さっきの行動は、これはどう考えても明白な違反だ。そうじゃないですか。そこはおっしゃったらいいと思いますよ。

〇小泉内閣総理大臣 その辺が、たびたび言っておりますように、表面的な言いぶりと実態というものをよく見きわめなきゃいかぬ。その辺は、今の政府の立場というものは先ほども申し上げたとおりでございますので、ぎりぎり詰めますと、相手を信頼できるのかできないのかという問題になってきます。これについては、前にも答弁いたしましたが、信頼できるできないという問題以上に、難しい体制であると。難しい国でありますけれども、交渉しなければならない相手であり、話し合いしなければならない政府であるということも、御理解いただけると思います。

〇玄葉委員 余りこの問題に時間を割きたくないんですが、ただ、やはり今申し上げた、例えばNPTの脱退なんというのは明らかなんですよね。そう思いますが、きょうは法律の方が優先ですから。ただ、もう一つだけ。そういう路線を行くのであれば、選択するのであれば、これはもう妥協せずに、かつ対話を続ける、辛抱強く、粘り強く。確かに、そういう手法しかないんですよね。ないんです。それは対話というのは、さっきから総理がおっしゃっているように、中国、ロシアを通じてでもいいんですが、こっちに向かえば解決に向かうんだという出口を示してあげるということなんだろうというふうに思いますし、妥協せずというのは、それは正常化なしには経済協力はないよ、核の問題、拉致の問題なしには正常化はないよ、こういうことだろうというふうに思います。ただ、そこに至る過程の中で、政策のいろいろなアローアンスというか許容範囲というのは出てくるんだろうというふうに思うんですね。その中に、例えば経済制裁なんかをする、こういう議論も出てくるわけでありますけれども、この件についてはいかがですか。

〇川口国務大臣 経済制裁についてお答えする前に、先ほどNPTのお話がございましたけれども、今国際社会で、北朝鮮がNPTを脱退した、これがきちんとそういうことであるということについては、疑義を持たれています。というのは、脱退の手続において、北朝鮮はすると言ったんですけれども、これは手続が正当に適切にされたかということが問題となっているということでございます。それから、経済制裁ですけれども、経済制裁については、これは今、平和的に問題を解決しようということで外交努力が行われているわけでございまして、この段階で我が国として経済制裁を北朝鮮に対して実施するということは考えておりません。いずれにいたしましても、状況の推移を見ながら、これについては、関係国とも緊密に連携をとりながら常に検討を行っていきたいと考えております。どのような対応をするかということについては常に検討を行っていきたいと考えています。

〇玄葉委員 これは経済制裁にもいろいろな段階があると思うんですよね。例えば、姿勢を示すという段階と、実際に発動する、実際に制裁を行うという段階はまた違う。制裁の中身だって、いろいろあるわけですよね。これは、余り話し合いだ、話し合いだとばかり言っていると、逆に北朝鮮に対して誤ったメッセージを送る可能性だって、あり得るだろうというふうに私は思うんですね。この経済制裁の姿勢を示すというオプション、これは将来あり得ますか、総理。

〇川口国務大臣 委員のおっしゃっている問題意識というのは私も理解をいたします。これは、対話を続けていくときにどのようなメッセージを北朝鮮に対して送るということが、対話を続けていって、対話を通ずる問題解決につながりやすいかという発想であるかと思います。ただ、先ほど申しましたように、経済制裁については、今国際社会のどの国も、経済制裁ということについて議論をしている国はないわけでございまして、今後、事態の推移を見ながら、国際社会の関係国と緊密に連携をとりながら対応をしていくというふうに考えております。将来どのような形になるかということについて今の時点で予測をするということは難しいかと思います。

〇玄葉委員 私個人の意見は、私は、姿勢を示すということは将来オプションとしてあっていいんだろうと。もちろん、北朝鮮が制裁は戦争とみなすというふうに言っています。これはおどしかどうかわかりません。だれもわからないと思いますが、だから慎重は要するんですけれども、私は、いろいろな段階があるんだろうということをよく踏まえて対応した方がいいんじゃないかと。総理、いかがですか。

〇小泉内閣総理大臣  経済制裁という問題については今外務大臣が答弁したとおりでありますが、過去のいろいろな不審な行動につきましては、厳正に対応しなきゃいけないと思っております。また現在も、そのような法に触れるような問題があるかないかということにつきましても、注意深く、配慮しながら、安全確保の面におきましても、日本としては、より一層必要な対策を打っていかなきゃならないという姿勢をより鮮明に出しておりますので、これが私は必ずしも経済制裁かというと、今の時点では、必ずしも経済制裁が適切だとは思っておりませんし、こういう点につきましても韓国とアメリカと緊密に協議を行っておりますので、有効な手だては何か、北朝鮮に対して働きかけていく際に有効な手だては何かという観点から、私は、十分に日本の政府としても検討する必要があると考えております。

〇玄葉委員 総務大臣、どうぞ、時間がなくなりそうなのでお帰りになっていただいていいです。――では、時間までいてください。何か、十分から二十分の間に質問してくれということでありましたので。それでは、時間がなくなりますので法案の質疑に入りますけれども、昨年のこの初日に、私、内閣の情報体制について問うた記憶がございます。私は、危機管理というのは八割はある意味で情報で決まるんじゃないかというふうに思っていまして、つまり情報の収集、分析、活用、伝達、こういうことが十分なされないと、危機管理、対応できないだろうというふうに思います。総理は強化していくということで、去年のこの時期でありますけれども、お答えになりましたけれども、この一年でどう強化されたんですか。

〇福田国務大臣 御指摘のとおり、情報というのは極めて大事である、こう思います。したがいまして、内閣の情報収集、分析、伝達の体制につきましては、その責任部署であります内閣情報調査室の体制強化を図ってまいりました。また、情報を担当する各機関、これは政府の機関でございます、例えば防衛庁とか外務省とか、そういうところの情報を内閣のもとで相互に連携を保つようにするということについて大変意を用いてまいりました。そういうような情報を収集、分析いたしまして、内閣情報会議または合同情報会議等におきまして総合的な評価、分析を行って、重要なものについてはその結果を直ちに官邸に報告する、そういうような体制をとっております。また、本年三月には、外交防衛等の安全保障及び大規模災害への対応などの危機管理のために必要な情報を収集することを主な目的とした、我が国が自主運用する情報収集衛星二機を打ち上げる、こういうこともしたこともございます。この衛星によりまして、一般論として申し上げれば、例えば、弾道ミサイル基地とか艦艇、航空機等の状況とか地震などの災害、また海外における邦人保護に必要な情報、そういうようなことについても情報入手が可能になるというようなこともございます。そんなことで、いろいろな面において情報収集、分析、そしてまたそれの活用というものは考えておるところでございます。

〇玄葉委員 私は、正直まだまだ十分じゃないと思っています。こういう内閣の情報体制をしっかりさせるためにも、実は民主党は、危機管理庁というものをつくっていこうではないか、これはもちろん一つの理由ではありますけれども、提案をしているわけであります。率直に言って、日本の危機管理の大問題点の一つは、結局、危機管理を統括するというか総括する省庁がないということではないだろうかというふうに思いますけれども、民主党の提案者といいますか、修正案提出者の民主党の委員にお聞きをしたいのですけれども、この危機管理庁を何ゆえそれほど重要視したのかということをお聞きしたいと思います。

〇渡辺(周)委員 今の御質問にお答えしますけれども、危機管理庁がそもそもなぜ必要か。とにかく、とりわけ大規模自然災害等は過去何回もございました。その中で指摘をされることが初動対応のおくれ、あるいは機動性に欠ける、あるいはいわゆる各省庁ごとの縦割り行政の弊害、それによって相互連絡の不都合や機能が重複しているということが指摘をされました。それゆえに、民主党の提出の基本法案の中では危機管理庁の創設を訴えてきたわけでございますし、また、アメリカのFEMAが九・一一テロの際もどのような形で事態の収束に対応できたかということをかんがみながら、この危機管理庁の創設というのは必要だろうと考えております。また、危機管理庁、新しい役所をつくることによって行政改革に逆行するのではないかというような御指摘もあるわけでございますけれども、先般のこの委員会での参考人質疑でも、既存の省庁あるいは現行の予算の中で、その役割ごとに一つの能力を集結する、機能を集結することによって行政改革につながるのではないかというような心強い参考人の意見もございました。その点につきまして、危機管理庁の設置ということは一つの概念として設けております。ただ、今回の修正案におきましては危機管理庁とは触れておりませんけれども、今般の交渉の中におきまして、「政府は、国及び国民の安全に重大な影響を及ぼす緊急事態へのより迅速かつ的確な対処に資する組織の在り方について検討を行う」ということが合意され、法律の附則に規定されることとなりました。また、昨日の民主党菅代表と小泉総理大臣の党首会談の中でも、その精神を尊重するというような意見があったと伺っておりますので、この我々の考え方は反映されるものだろう、そのように確信をしております。

〇玄葉委員 委員会でも説明があったんですけれども、官房長官、内閣危機管理監というのがいるんだと。でも、そこで本当に全体の調整が十分できるのか。スタッフは何人ですか。たしか五十人ぐらいだと思うんですけれども、そのぐらいの状況ではないだろうかというふうに思うんですね。これは総理も聞いていただきたいんですが、危機管理全般について常に緊張感を持って専門的に対応する政治家としての責任者、国務長官というのが私は必要じゃないか。官房長官は、総合調整するテーマは全部官房長官なんですね。例えば男女共同参画型社会、どうやってつくるか、みんな官房長官なんですよ。常に危機管理に頭が行くわけじゃないんですね。とすれば、そういう組織を真剣につくっていかなきゃいけないんじゃないか。これは、私個人の意見では、例えば消防庁とかそういうものをあわせていったらいいと思いますよ。内閣府の災害対策室とか今申し上げたような危機管理室とか、そういうものをあわせて組織をつくっていけばそんなに行革にも反しないわけですから。総理、いかがですか。

〇小泉内閣総理大臣 緊急事態にいかに的確に対応するかというのは政府の重大な責務だと私も考えております。その的確に対応するための組織としてどういうものがいいのかという御議論だと私は思います。現在も、官房長官は繁忙長官と言われるように、いろいろな問題に対応して、一つの危機だけには対応できないだろうという御指摘だと思いますが、常に官房長官も私も、あらゆる緊急事態には即座に対応できるような注意はいかなる場合にも持っておかなきゃならないという意識で実際の日常の業務に当たっております。しかしながら、あるべき組織としても考えていいのではないかという御議論をいただいておりますので、今後政府としては、このような体制を構築する中で、中核をなす組織をどのように持つべきかということにつきましては、今御指摘の点も踏まえまして十分に今後検討してまいりたいと思っております。

〇玄葉委員 次に、基本法のことでありますけれども、我々、基本法を提案させていただいたわけでございます。それは最も大きな意味は、自民党がお招きをした参考人もこの場の参考人質疑でおっしゃっていましたが、憲法に緊急事態の規定がない、これはやはりいかがなものかということを言っていました。我々もそういう観点が一つはあります。あるいは、実際に対処することになる各個別法の全体の境界整理というか整合性といいますか、そういうものも図っていく、そのためのまさに理念法としての基本法というものをやはりつくるべきなんだろう、考えていくべきなんだろうというのが我々の主張でありますけれども、昨日の覚書等でも幾つか反映されているわけでありますが、総理としての基本法をつくるということに対してのお考えをお伺いしたいと思います。

〇小泉内閣総理大臣 ただいま玄葉議員が言われた基本法についての問題につきましては、これまで与党と民主党との間での協議でも非常に論議になった、また重点的に配慮がなされた問題であります。昨日の党首会談におきましてもこの問題についても話が出まして、これについては政府としても真剣に検討していくということで、今私ども政府としてはっきり申し上げたいと思いますが、今まで、私はこれまで、国と国民の安全を確保するため、武力攻撃事態を初め、いかなる緊急事態にも的確に対応できる体制を構築することは政府の当然の責務であると考えてきたところであります。与党と民主党との間で検討がなされることとなったことは、私としては高く評価しております。今後、与党と民主党との間で緊急事態に係る基本的な法制について具体的な検討が進められる過程では、既存の法令との関係などの問題について国民にわかりやすい成果が上がるよう、十分な議論を尽くしていただきたいと思います。緊急事態に係る基本的な法制が必要であるとの考え方は十分共有するものであり、今後政府としても、今回の合意にある必要な措置について真摯に検討してまいりたいと思います。

〇玄葉委員 次に、基本的人権、これは民主党がとても大切にしてきた主張でありますが、今回、我々の入念規定といいますか、念を入れる規定が修正案の中に入ったということでありますけれども、それについて、特に民主党の提案者の方から、今回の修正で基本的人権に関する規定がどのように盛り込まれて、それをどう評価するか、お伺いをしたいと思います。

〇平岡委員 民主党は結党以来、緊急事態に対する対処に当たっては民主的統制とそして基本的人権の確保ということが極めて重要である、そういう姿勢に立ってまいりました。今回の事態対処法に対する修正案、そして対案としての基本法案を提示するに当たっても、はるかに詳細に基本的人権に係る規定を盛り込んでおります。緊急時における人権保障というものを重視しているということであります。その理由は、委員も御案内のように、緊急事態においてはとかく人権侵害の危険性が生じやすい状況になっているというようなことで、緊急事態においてともすれば侵されるおそれの強いものについて、事態に応じた表現ぶりで入念的にその保障をうたうとともに、権利の救済について必要な事項を明記するということで、具体的には六項目にわたって明記をしたところでございます。今回の与党三党そして民主党との修正協議の中で、今回の武力攻撃事態対処法の中に、憲法第十四条、法のもとでの平等、十八条、意に反する苦役の禁止、十九条、思想及び良心の自由、そして第二十一条、表現の自由、その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならないという規定を盛り込むことで合意をしたところでございます。さらに、それ以外の項目についても、民主党、六項目あったということを先ほど申し上げましたけれども、これから行われます国民保護法制で措置されるということが合意されているということであります。我々としては、これから行われる国民保護法制あるいは基本法の制定の中で必要な事項について十分に盛り込んでいくよう検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。

〇玄葉委員 修正案を提出された与党の委員にもお伺いしたいんですけれども、きのうの覚書のところで、武力攻撃事態対処法三条四項に関し、民主党が修正を求めている事項については国民保護法制で措置をする、こういうことを覚書で交わされたということでありますけれども、その事項というのは、これは民主党が要求していた六項目すべてというふうに理解してよろしいんですか。

〇久間委員 民主党さんが書いている項目ごとにという意味ではございませんけれども、民主党さんが求めておられました内容を国民保護法制をつくるときに検討したらいいと。特に、箇条書きされております五項、六項については、これは政府の方もこれまでの答弁で言っていますように、これから先、国民保護法制をつくるときにどのような補償措置といいますか、そういうことについては、適切な補償をするためには法律が必要であるというふうなことを答弁しておられるわけでございますから、国民保護法制のときにそれらもあわせて措置したらいい、そういう意味であのような書き方にしたわけであります。

〇玄葉委員 あと、民主党の委員にもう一つお尋ねしたいんですけれども、我々が大事にしてきた国会のコントロール、民主的な統制は、今回の修正案でどのように措置されましたか。

〇渡辺(周)委員 お答えいたします。国会の対処措置の終了できる旨でございますけれども、政府案では、対処措置につきまして、内閣総理大臣は、対処措置を実行する必要がなくなったと認めるときは、対処基本方針の廃止につき、閣議の決定を求めなければならないとあったところでございます。この対処措置というのは、武力行使はもとより、その他の公権力の行使を含むわけでございまして、国民の権利義務に関係することも多いわけでありますから、私どもとしては、国会の議決を契機として対処基本方針を廃止させる、この旨を盛り込むように主張してまいりました。今般の修正案におきまして、第九条四項に盛り込まれました。この点につきまして、与党協議で我々の主張が一〇〇%盛り込まれたというふうに判断をするところでございます。これによりまして、国会の議決によりまして内閣総理大臣が、対処基本方針の廃止について閣議の決定を求めることが義務づけられまして、対処基本方針を廃止する旨の閣議決定を経て廃止されることになる、国会での民主的統制が担保されたと我々は評価をしております。 以上です。

〇玄葉委員 大急ぎになりますけれども、もう一つ、国会で担保していただきたいという意味で、与党の委員にお尋ねしたいんですが、先ほども、附則に、この法律は、公布の日から施行する。ただし、第十四条、第十五条及び第十六条の規定は、「別に法律で定める日から施行する。」こういうふうにあるわけでありますが、別に法律で定める日というのはどういう日なのか。国民保護法制が整備、施行される日のものを指すのか、明確にしていただきたいと思います。

〇久間委員 国民保護法制が一年以内に整備されるように、今度の附帯決議になっておりますが、それとあわせまして一日も早く十四条、十五条、十六条が施行されることが望ましいわけでありますから、一番早い国民保護法制の整備とあわせてこれは施行される、そういうような気持ちで別に法律で定めるということにしたわけであります。

〇玄葉委員 実はきょうは、きのうの夜、急遽時間が五十分と倍になったと言われて、ミサイルディフェンスの話とか、つまり着上陸作戦よりも恐らく蓋然性が高いであろうと思われるミサイルディフェンスとか、原発テロだとか、サイバーテロの質問を用意してきたんですが、時間が大分なくなってきました。ただ、ミサイルディフェンスの問題は、これはうちの党の中にもいろいろ議論がございます。現時点では、パトリオットというミサイルは弾道ミサイルに対しては対応できない、PAC3という新しいミサイルはそれに対して対応できるミサイルなんだということでありますけれども、このPAC3の導入について防衛庁長官としてどういうふうにお考えになっておられるのか、お尋ねをしたいと思います。

〇石破国務大臣 これは、委員御案内のとおり、安全保障会議の議を経て決めるものでございます。ただ、PAC3単体としてではなくて、全体のシステムとしてどう見るかということだと思っています。パトリオットPAC3というのは、御存じのとおり、低層のミサイルを迎撃する、低層から迎撃するものであります。ですから、中層で、イージス艦に積みましたミサイルで中層のものを迎撃する、それでも撃ち漏らしたものをPAC3で低層で迎撃する、そういうような仕組みというものは考えられるのだろうというふうに思っております。どうすれば我が国にとって最も効果的なミサイルディフェンスであるのか、そして、それが幾らかかるのか、法的な裏づけはどうなるのか、そういうことを総合的に判断することになりますが、PAC3というものも、全体的な中でどういうふうに判断するかということだと思います。PAC3の導入というものを排除するということではなくて、そのことも念頭に置きながら、全体としてどういうことが一番望ましいかということが安全保障会議で判断されることになるというふうに承知をいたしております。

〇玄葉委員 もう時間がなくなりましたので、終わりますけれども、きょうの報道なんかを読みますと、民主党も修正案で合意して、ある意味では与党と同等の責任を負うことになるのではないか、こういう評価といいますか報道があるわけでありますが、もとより、そもそも我々、そういう責任を負う立場で議論しているわけでありますので、これからもそのような姿勢で議論いたしますが、当然その分といいますか、総理初め政府あるいは与党も十分耳をかしてもらって、よりよい案をつくるんだ、自分たちの案だけに固執しないという姿勢でぜひこれからも臨んでいただきたいということを申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

 

ページトップへ