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予算委員会(平成25年2月28日 議事録)

○玄葉委員 四カ月前まで外相をさせていただきましたので、守秘義務もございますし、質問は遠慮しようというふうに考えていたんですけれども、御存じのように、民主党、外務委員会は私を含めて四名でございます。山口さん、菊田さん、長島さん、それぞれ大変優秀な方々ではありますけれども、その負担を考えると私も質問しなければならないということで、きょう、こうして立たせていただいたわけでございます。
 一年四カ月務めさせていただきました。思ったようにできたこともあれば、思ったようにできなかったこともございます。外務省の職員には大変よく支えていただいたというふうに思っています。
 岸田外務大臣には、この国難にあって、ぜひ頑張ってほしいというふうにエールを送りたいと思っていますけれども、就任四カ月での率直な感想をまずお聞かせいただきたいと思います。

○岸田国務大臣 まず、外務大臣に就任しましてから四カ月がたちますが、改めて、我が国の置かれている国際的な戦略環境の厳しさを痛感しております。北朝鮮の核実験の実施ですとか、中国艦船による火器管制レーダーの照射ですとか、アルジェリアのテロ事件ですとか、さまざまな出来事が発生をいたしました。
 こうした中にあって、我が国の外交をつかさどることの重みを痛感しておるところでございます。そして、こうした外交の継続性ということを考えますときに、玄葉前大臣の一年四カ月、大変な御苦労がおありになったんだろうなと思いをめぐらせているところでございます。
 ぜひ、我が国が置かれているこうした危機的な状況をしっかりと受けとめ、そして、外交の継続性の中で、日本の国益を守るために、玄葉大臣の一年四カ月の努力の上に立って、私も大きな責任を感じながら外交努力を続けていかなければいけないと改めて強く感じているところでございます。
 まだまだこれからさまざまな不透明な要因が想定されます。ぜひ心して外務大臣としての務めを果たしていきたいと存じます。引き続きましての御指導を心からお願い申し上げる次第でございます。

○玄葉委員 やり残したことがございまして、ぜひ岸田外相に頑張ってほしいと重ねて申し上げたいというふうに思います。
 外務省で調べてくれたんですけれども、一年四カ月で三十五カ国、外遊したというか訪問したということであります。ヒラリー・クリントンさんが四年間で百十二カ国だそうです。これは、歴代国務長官の中で一番多いということのようであります。恐らく、イギリスとかドイツとかフランスも、一年四カ月くらいならこのくらいの数ではないかというふうに思うんですが、東大の佐々木毅先生初め何人かの学者さんがあるレポートを書いておりまして、私が一年四カ月で三十五カ国訪問をし、かつ、一年間で国会に出席をした日数というのが、平日二百六十日の中で百六十五日間だったということであります。対して、イギリスとドイツ、フランスというのは、そのレポートによりますと、それぞれ、二十二日間、十六日間、十七日間ということであります。
 このことを我々がどう考えるか、与党、野党を超えてですね。私は今、野に下ったわけであります。率直に言うと、そのとき岸田外相は国対委員長だったわけですけれども、答えにくいと思いますが、別に皮肉で申し上げているわけじゃなくて、この国会における一種の構造改革というのを、やはり真摯にお互い考えていかないといけない時期に来ているんじゃないかというふうに思うんですね。
 日本の歴代外相の海外への訪問の数をざっと見ますと、七、八年前までは必ずしも多くないんですよ。この七、八年、急激に多くなってきているんです。それはやはり、これからの時代というか今の時代は、かつてと違って、外相自身が直接訪問しなければならない国というのがふえているし、外相自身が直接出なければならない、そういう国際会議がふえているということでもあると思うんですね。
 日本外交あるいは日本国の世界における存在感というものを考えたときに、やはりこの問題、徐々にではありますけれども、よく考えていかないといけないテーマではないかと思いますけれども、岸田外相、いかがお考えになりますか。

○岸田国務大臣 ただいま玄葉委員から、日本の外相の外国訪問が最近はふえているという御指摘もありましたが、一方、他の国におきましては、外務大臣を初めとする外交担当者の外国訪問はさらに数がふえているのではないか。結果として、各国の外交担当者の外国訪問に比べまして、日本の外務大臣を初めとする関係者の外国訪問はまだまだ見劣りをしているのではないか、数が少ないのではないか、これを痛感しております。
 また、私も、まだ四カ月ではありますが、幾つかの国を訪問させていただきました。その際に、たしかフィリピンでは、日本の外務大臣が訪問したのは七年ぶりだという話を聞かされました。オーストラリアでは、日本の総理大臣が二国間会談という形で訪問するのは十年間ないという話も聞かせていただきました。数ももちろんですが、国によって外国訪問のありようもさまざまなのかなということも感じてまいりました。
 やはり、こうした各国の動き等を見ますときに、我が国も、外務大臣あるいは首相の外国訪問をより戦略的に、数ももちろんですが、どのぐらいの間隔、ローテーションで訪問するべきなのか、あるいはどのような訪問を行うべきなのか、内容におきましてもしっかりと検討、吟味した上で、戦略的な外国訪問を考えていく必要があるのではないか。
 国会日程等なかなか厳しい条件もあるわけですが、他の国々が国益をかけて外交を展開している中にあって、我々も、そういった問題意識を持って、外務大臣を初め外交担当者の外国訪問を考えていかなければならないのではないか、こんなことを感じているところでございます。
 ぜひ、こういった実態もしっかりと我々からも説明をさせていただき、さまざまな関係者に御理解をいただき、有効な、戦略的な外国訪問を行い、そして、国益を守る、外交の成果につなげていきたいと感じておるところでございます。

○玄葉委員 先ほど申し上げましたけれども、結局、問題は、国会との関係が一つあると思うんですね。つまり、一年間で私は百六十五日国会に出席をし、他方、イギリス、ドイツ、フランスは、二十二日、十六日、十七日である。ましてや、御存じのように、ロシアだとか中国は議会での説明というのはほとんどなされない、こういう状況にあるわけであります。
 国会における説明というのは非常に大事ですけれども、我々、副大臣の活用、副大臣の答弁というのをもともと一旦決めた経緯というのがあると思うんですね。ですから、残念ながら、立場がそれぞれ変わるとなかなかそういったことが進まないというところがあるんですけれども、私は野に下りましたけれども、できるだけ外務大臣の出張というのは認めていくべきであると。それは、将来またどういうふうな政権ができようとも、それをきちっと慣例としていくということをやはりこのあたりからしっかりと構築していくということが大事じゃないかというふうに考えているということでございます。
 ちなみに、この間のTICADの準備会合にしても何にしても、今、できるだけそういう方向に民主党は行っているのではないかと、私から見てもそう思っていますけれども、もう一言あれば。

○岸田国務大臣 まず、国会の運営につきましては国会の先生方の御判断に委ねなければなりませんが、こうした外交のありよう、外国訪問の必要性については、しっかり我々は説明をさせていただき、御理解をいただかなければならないと思っております。ぜひ御理解をいただいた上で、日本外交、そして外務大臣の外国訪問等についてもどうあるべきなのか、国会におきましても、ぜひ御議論いただき、御指導いただきたいなと改めて思っております。

○玄葉委員 外交の問題に本格的に入る前に、先般、岸田外務大臣に福島第一原子力発電所を視察していただきました。そのときに、岸田大臣として何を感じて、この視察をこれからどう生かしていこうというふうにお考えになったか、お聞かせをいただきたいと思います。

○岸田国務大臣 今月六日の日に、東京電力福島第一原発の廃炉作業を視察させていただき、あわせて福島県の佐藤雄平知事と会談をさせていただきました。
 まず、福島第一原発を視察させていただきまして、改めて、大変厳しい環境の中でこの廃炉作業に多くの作業員の方々が取り組んでおられました。このことについては心から敬意を表し申し上げた次第ですが、一方で、最近、さまざまなトラブルも発生しております。このことにつきましては、ぜひ緊張感を持って引き続き取り組んでいただきたいということを申し上げさせていただいた次第でございます。
 そして、その後、佐藤雄平知事ともお会いをさせていただきましたが、その際に、福島第一原発の廃炉作業はもちろんですが、それ以外にも、除染ですとかあるいは風評被害の払拭ですとか、そしてこうした作業が進むことによって福島全体の復興にもつながるわけですから、こうしたさまざまな課題に外務省としても大変大きな責任を担っているんだな、こんなことを感じて帰ってきた次第でございます。
 廃炉作業につきましても、国際的な知見を得ていくことは大変重要であります。IAEA、あるいはOECDのNEA、経済協力開発機構原子力機関、こうした国際機関ですとかあるいは各国との間でまずは透明性を高めていく、そして、さまざまな知見を活用しながら廃炉を着実に進めていく、こういったことの重要性を感じた次第であります。
 また、これは昨年十二月ですか、玄葉委員も外務大臣の時代にみずから共同議長を務められました原子力安全に関する福島閣僚会議、この閣僚会議におきましても、IAEAの天野事務局長と福島の佐藤知事との間で覚書を交わしておられます。この覚書の中で、現在、福島県におけるIAEA緊急時対応能力研修センターの立ち上げですとか、除染、放射線モニタリング、また、人の健康等の分野での具体的な協力プロジェクト、こうした準備が進められています。こういったものについてもしっかりフォローしていかなければならない、こんなことを感じた次第でございます。
 外務省としましても、国際的な知見を活用する、あるいは、さまざまな国際機関、国々と連携していく、また、風評被害の払拭等においてはさまざまな働きかけを行っていかなければいけない等々、多くの責任を担っているんだなということを改めて痛感して帰ってきたということでございます。

○玄葉委員 ぜひ外務大臣が先頭に立ってこの問題に取り組んでほしい。私も全力を挙げてきたんです、今御紹介いただきましたけれども。特に、廃炉プロセスを安定した形で進めるというのは、日本の国益を考えると、最重要テーマの一つだというふうに申し上げて間違いないと思います。
 汚染水漏れがあったり、ネズミによる停電、そして冷却機能の停止などという事態が頻繁に繰り返されているわけであります。
 先般も、IAEAの廃炉の専門家が第一原子力発電所を訪れたんですね。もちろん、燃料デブリの取り出しみたいな話というのは、どこの国も経験していませんので、我が国が技術開発をしながら進めていかなければならないんですけれども、ただ、国際社会の知見を結集する、IAEA、あるいはOECDの中にあるNEA、そういった機関から最大限協力をいただくという必要はあるし、あるいは、風評被害対策、渡航制限もあります。まだ輸入制限もあります。
 放射線量のリスクコミュニケーションというのが世界の中で進んでいないという側面がありまして、実は、会津若松とニューヨークというのは同じ放射線の空間線量なんです。でも、放射線量が高いんじゃないかとか、そういうふうに言われちゃうというところがあるんですね。
 ICRPなんかを上手に活用して、さまざまな国際会議の場で、こういった対策も外相が先頭に立ってぜひ進めていただきたいというふうに思いますが、もう一言決意をいただければと思います。

○岸田国務大臣 先ほど申し上げましたように、今回の福島視察において、改めて、外務省の役割の大きさ、責任の大きさを感じているところですが、その上で、具体的にしっかりと成果、結果を出していくことの大切さも感じております。
 風評被害等につきましても、まだまだ、さまざまな輸入制限があり、さまざまな制限が各国に存在をいたします。このことについても、より具体的な取り組みを強めていかなければいけない、このように思っています。
 今御指摘がありましたICRP、こうした国際機関の知見をしっかり活用させていただき、科学的根拠によって、より説得力のある働きかけを行っていかなければならない、こんなことも感じるところであります。
 また、こうした具体策につきましては、今、外務省の中で検討させていただいているところではありますが、私の私見で申し上げますならば、こうした働きかけにつきましても、世界各国、また地域によりまして事情はさまざまでありまして、受けとめ方はさまざまのようであります。ですから、地域分けあるいはグループ分け等、よりきめ細かい働きかけが必要なのではないか。こうしたさまざまなグループ分け、地域分けを行った上で、それぞれ、さまざまな工夫をしながら働きかけをしていく等々、より具体的な働きかけを行っていかなければいけないのではないか。風評被害の払拭一つとりましても、そんなことを感じてきたところであります。
 そして、御指摘のように、廃炉作業というのは、まだ今まで誰も経験したことがない未知の分野への挑戦ということであります。こうした課題についても、さまざまな国際機関あるいは各国の知見をしっかり共有しながら立ち向かっていかなければいけない大きな課題でありますし、それにおける外務省の役割の大きさ、責任の大きさも改めて感じるところであります。
 こういったことを考えますときに、改めて、こうした復興にもしっかりと役割を担っていかなければいけないと強く感じているところでございます。

○玄葉委員 奮闘を期待したいと思います。
 先ほど、外交の継続性というものを自分としてはしっかり確保する、大事にしたいという趣旨の話があったと思います。私は、外務大臣のときに、与野党で外交、安保の共通基盤をいかにつくるかということを意識していました。それは、野党時代からそういうところがございましたけれども、与党になって、自分が外相になって、このことは意識するべきであるというふうに考えていました。政権交代の効用の一つというのは、外交、安全保障政策についての共通の基盤というものがほぼ築かれてきたことだと思っているんですね。
 ですから、私は、殊さら、政権がかわって違いを強調する、レッテルを張って違いを強調するというようなことよりも、むしろ、外交、安全保障は政権がかわってもその根幹は変わらないのであるというふうに日本の政治を誘導していった方がよいと考えているんですけれども、外務大臣はいかがお考えですか。

○岸田国務大臣 まず、おっしゃるように、我が国の国益を守り、そして平和と繁栄を確保していくに当たりまして、私も外交の継続性はまことに重要だと考えております。
 こうした基本的な継続性を守りながら、一方で、国際情勢は日々変化をしています。こうした変化に対して適切かつ柔軟に対応していく、こういった姿勢も大事にしなければいけない。このバランスを大事にしながらしっかりと国益を守っていく、こうした外交姿勢が重要ではないかと私も感じているところでございます。

○玄葉委員 私は、政治あるいは政党政治にはオルタナティブが必要であるというふうに思っているんですね。ただ、先ほど申し上げたように、オルタナティブをつくるときに必要なのは、外交、安全保障政策の共通基盤。あとはやはり、外交、安全保障を政争の具にしない、これも大事だと思うんですね。
 歴史を見れば、例えば政友会、民政党時代の統帥権干犯問題などというのもあります。ですから、特に政党政治が政権交代可能な政治になっていくときに意識をしなきゃいけないのはそのことであるというふうに思っていますので、そのことを冒頭申し上げておきたいというふうに思います。
 その上で、幾つか各論を質問したいと思うんですけれども、いろいろありますが、TPPからいきましょうか。
 TPPは、若干私は厳しく指摘をしなければならない点があります。参加表明自体は私は評価をしています。問題は内容なんですね。これは、私も守秘義務がありますから、余りなことを申し上げるつもりはないんですけれども、先般も安倍総理に申し上げましたが、懸念している点は二つあって、一つは、日米首脳会談で日米の共同声明が出たんですけれども、私から申し上げれば、既に確認をされていることを紙にした、そういったある種のパフォーマンスを国内向けにしなければならない事情が総選挙公約との関係であったわけでありますけれども、その結果、何が起きたかというと、自動車部門や保険部門に関する残された懸案事項に対処しなければならない、そして、その他の非関税措置に対処しなければならない、「なされるべき更なる作業が残されている。」ツー・ビー・ダンということで、ここに書き込まれたということがあります。
 それを受けて、今回の日米の合意でありますけれども、これも、私が非常に気になったのは、あのときに安倍総理に提案として申し上げておいたんですけれども、参加表明をするときは、しっかりとアメリカと握った上で表明をしないと、べた折れになっちゃうんじゃないか、足元を見られるんじゃないかということを言ったんですね。あのとき、岸田外務大臣もお聞きになっていたと思うんですね。
 日米は、何といっても同盟関係であります。総合的な、大局的な観点からこの参加については考えていかなければならないんですけれども、事TPPに関しては、つまり、アメリカの担当者は、安全保障を初めトータルな国益云々というよりは、完全に通商交渉モードに入っていますので、かなりこちらもしたたかにやらないと、段取りを間違えると国益上損失をこうむることになってしまうということではないかというふうに考えているんですけれども、これについていかがお考えですか。

○岸田国務大臣 まず、御指摘の点、しっかり日米の中で固めた上で参加表明が行われるべきではなかったかということですが、この辺は、まず交渉の難しさなのかと感じております。まず、我が国が交渉参加になかなか踏み切れない中で、このTPP交渉自体は、既に開始から三年が経過しております。そして、ことしじゅうには交渉参加国の合意を目指している、こういった状況でありますので、残された時間はそう長くないと感じなければならないと思っています。
 その中にあって、安倍総理は、TPP交渉参加は国家百年の計であり、この機を逃してしまいますと世界のルールづくりから日本が取り残されてしまうのではないか、ラストチャンスだという思いで交渉参加を決断したということであります。
 そして、その後、日米間で協議が行われ、先日、一つの合意が発表されたわけですが、これは、こうしてTPP交渉が進み、交渉が進展して三年たつ中にあって、TPPの既参加国であり、なおかつ、今、TPP交渉参加国の中でも重要なメンバーである米国からの支持を取りつけなければならない。そして、米国においては、自動車業界等において、日本の参加を認めることについて大変慎重な意見がある。こういった中での協議ということになりました。
 こういった中で協議を行って、御案内のような合意内容になったわけですが、こういった中にあっても、自動車においては最終的に自動車関税が撤廃されることが確認された等、日本にとっても前進があったというふうに捉えています。日本のセンシティビティーである農業についても、今後の交渉の中でしっかりと考えていかなければいけない、こうしたことだと思っています。
 そして、これから仮に、日本の交渉参加が認められて交渉に入るということになりますと、まさに我が国は国益をかけてこの交渉に臨まなければなりません。そして、今度は、TPPの交渉については多国間交渉であります。二国間ではなくして多国間交渉、マルチの交渉であるという点をしっかりと念頭に置いて、二十一分野、さまざまな分野があるとされています。それぞれの分野において、その分野の課題においてはどの国と連携してどういった国益を守っていくのか、それぞれの分野において、実に緻密な、そして厳しい交渉が予想されますし、覚悟しなければならないと思っています。
 ぜひ、日本の外交交渉力の全てをかけて、国益を守るために、このTPP交渉に臨んでいかなければいけないと強く感じているところでございます。

○玄葉委員 要は、参加表明自体は、私は、先ほど申し上げましたけれども、政治の判断として正しい。ただ、交渉の足を引っ張った二つの政治というのがあって、先ほど申し上げたような、国内向けに紙にしなければならなかった、そしてもう一つは、表明の時期について、私は、交渉担当者のミスではなくて、やはりこれは政治のミスだなと、率直に言うと思っているんです。
 ですから、これは甘利さんが責任者になってこれから進めていくということだとは思いますけれども、ただ、外務省関係者が多くこの交渉担当にこれから臨むということになると思いますので、ぜひ岸田外務大臣に、交渉が誤りのないように進むように、しっかりしてもらいたいというふうに思っているんですね。
 一言で言えば、切り札を早く切り過ぎているというふうに思っているんですよ。
 ここに日米協議の合意の概要があります。あるいは、USTRなどが発表した合意と私たちの協議の概要がそれぞれ違うのではないかなどという報道もありました。そのことよりも、今回、この協議の概要の中身が、もう既に、例えば自動車分野の貿易に関して、関税一つとっても、「最も長い段階的な引下げ期間によって撤廃され、かつ、最大限に後ろ倒しされ」て、「この扱いは米韓FTAにおける米国の自動車関税の取り扱いを実質的に上回るものとなる」と。
 これは、本来は、事前協議で確認されるというよりは、最終的にこのカードを切るなら、米は除外するとか、畜産は例外にするとか、日本が確保しなければならないこういった分野でのぎりぎりの交渉のときに使うべきカードの一つだと、私なんかはずっと思っていました。ですから、一定程度は仕方がないと思うんだけれども、早く切り過ぎているなというのが私は心配なんですね。
 ちなみに、先ほど多国間交渉とおっしゃいましたけれども、自動車分野は、TPP交渉と並行して、透明性、流通、基準、環境対応車、新技術搭載車、財政上のインセンティブ等、また、自動車分野以外でも、日米間でTPP交渉と並行して非関税措置に取り組む、対象分野は、保険、透明性、貿易円滑化、投資、規格・基準、衛生植物検疫措置。
 きょうは政府委員がいませんので、細かい技術的なことを聞くつもりはありませんけれども、したがって、この並行協議というのは、TPP交渉というのが一つあって、もう一つ、事実上、日米のFTA交渉が同時に行われる、大体こんなふうにイメージしてよろしいんでしょうか。

○岸田国務大臣 まず、最初の御指摘につきましては、やはり、交渉が三年間進み、残された時間が限られている中での交渉の難しさということだと思っております。
 そして、後半の御指摘につきましては、今回の日米合意においては、自動車分野、そして非関税分野、この二つの分野について並行協議を行うということになっています。そして、この並行協議については、まずスタートは、我が国がTPPに交渉参加が決まり、交渉参加がスタートする時点ということになります。
 そして、この日米合意の中で明記されておりますように、自動車分野については、最終的にはTPPの協定の中に盛り込まれるということになっています。非関税分野についても、こうして並行的に審議し、最終的に関連法令等で実現する、TPP合意までに実現していく、こういったことになっております。
 よって、自動車分野、そして非関税分野の並行協議、ともにTPP交渉のスケジュールと合わせて行われていく、こうした取り決めになっていると理解しております。

○玄葉委員 それはそうなんだと思いますけれども、そうすると、例えば紛争解決手続なんかも、これはちょっと、通告していないから答えにくいですか、やや技術的なことかもしれませんけれども。そう考えると、二国間で並行協議で得られた結果は、それも含めて全て、例えばTPP交渉における紛争解決手続の対象になるということですかね。ちょっと細かいことで申しわけないけれども。

○岸田国務大臣 今回の合意においては、自動車についてはTPP交渉の中に盛り込むということになっております。非関税分野については、並行して日米間で協議をしていく、こういった取り扱いになっています。

○玄葉委員 きょうは結構です。
 いずれにしても、実質、日米FTAを同時並行で交渉するようなものだというのが率直なところではないかと思うんですね。ですから、かなり手綱を締めてやっていかないといけないということだと思います。
 さて、こればかりやっているとまた時間がなくなってしまいますので、せっかく北米局長もいらっしゃっているから、アメリカの話も若干申し上げたいと思います。
 言うまでもなく、日本外交の基軸は日米同盟でございます。ただ、最近、パワーバランスの変化がありますので、当然、日米同盟を強化していくという大きな方向性は私は正しいというふうに思いますし、私もその点、努力をしてきたつもりであります。ただ、アメリカ自身の財政赤字の削減等々もあって、私は、この財政赤字の削減が国防費に与える影響、そして我が国の安全保障に与える影響というのも、これはしっかりと見ておかないといけないぞというふうに思っているわけであります。
 二〇一一年の予算管理法によりますと、一三年から一七年の五年間で二千五百九十億ドル削減をするということでありますので、特に東アジアの戦略環境の中でパワーバランスの変化がある中で、さらにアメリカは、リバランスでアジア太平洋重視ということを言ってはいますけれども、しかし、これだけ財政赤字を削減する中で、どうやってバランスを保っていきますか、安定した秩序というものを維持していきますか、これが大事な課題なわけです。
 具体的に、日米同盟の強化ということをどのように岸田外務大臣としては捉えて進めていくおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。

○岸田国務大臣 まず、アメリカの議会におきましては、財政をめぐってさまざまな議論が行われています。そして、防衛予算の削減の議論も行われている中にあって、まず、現状、基本的には、アメリカのアジア太平洋地域重視の姿勢が維持されているということは、我が国は高く評価しているところであります。
 しかし、今後、予算あるいは議会での議論の行方については、我々は関心を持って注視していかなければいけないと思っていますし、こうした議論の行方を注視する一方で、我が国自身がしっかりとした防衛努力に努めていく、我々自身の努力も問われていくことになるのではないか、このように思っております。
 我が国自身の努力、防衛費の増額、あるいは防衛大綱の見直し、こうした取り組み、さらには、日米安保体制の抑止力を向上させるために、さまざまな議論があります。拡大抑止、あるいは弾道ミサイル防衛、宇宙、サイバー等、こうした安保・防衛協力についてもしっかりと進めていく。さらには、日米間においては、ガイドラインの見直しといった課題もあります。こうした課題についてもしっかりと取り組んでいく。こういったことを考えていかなければいけないのではないかと思います。
 ぜひ、我が国自身の努力もしっかりと行いながら、アメリカの議会での議論も注視していきたいと考えております。

○玄葉委員 確かに、我が国自身の防衛力整備の努力というのは大変大事だというふうに思います。それはそのとおりだと思います。
 そして、拡大抑止、サイバー、宇宙のほかに、計画検討ですね、これは、内容についてはもちろん守秘義務がありますから申し上げませんけれども、非常に大事だと思っているので、決意だけでもお聞かせいただけますか。

○岸田国務大臣 御指摘、大変重要だと認識をしております。御指摘の点も踏まえて、しっかりとした努力を続けていきたいと考えております。

○玄葉委員 再編のロードマップ、これも日米同盟の強化の一つだというふうに思うんです。
 昨年四月に2プラス2がございまして、あのときに、日米双方が難しい状況をお互いに抱えている中で、普天間飛行場の進展と嘉手納以南の土地の返還及び海兵隊のグアム移転をいわば切り離すということで合意をして、可能なところから進めていくというふうにしたわけであります。
 先般、嘉手納以南の土地の返還計画について発表があったわけでありますけれども、先ほど申し上げた趣旨、先ほどは全ての趣旨を申し上げたわけではないんですが、趣旨の一つを申し上げたんですが、そういったいわゆるリンケージを切り離すという、つまり、普天間の進展、普天間の固定化というのは絶対にあってはならないんだけれども、しかし、可能なところから、嘉手納以南の土地の返還にしても、あるいはグアム移転にしても、きょうの報道では、アメリカの上院軍事委員会ではグアム移転の凍結が提言されているなどという報道もございましたけれども、基本的に切り離して進めていくものなのだ、そういうふうに考えてよろしいですか。

○岸田国務大臣 まず結論から言いますと、御指摘のように、方針は変わっておりません。
 沖縄の施設・区域の統合計画については、二〇〇五年十月の2プラス2の共同発表及び二〇〇六年五月の再編のロードマップにおいて作成され、そして七年越しの課題ということで議論が続けられてきました。その間、玄葉前大臣におかれましても大変な御努力をされたこと、改めて敬意を表し申し上げる次第でございます。
 こうしたさまざまな議論の積み重ねの結果、今般、一つの取りまとめが行われたわけでありますが、基本的な方針は変わらないということでございます。

○玄葉委員 これは、普天間を含めて私どもは共同責任がございます。したがって、野党の立場でもしっかり協力をしていかなきゃいけないというふうに思っているんですけれども、着実な実施をお願いしたいと思います。
 ただ、嘉手納以南の土地の返還、若干、印象として、かなり先だなという印象を持った人たちが多いのではないかというふうに思うんですね。何でそんなに先になるのか。つまり、十年後とかですよね。例えば沖縄が非常に関心を持っている牧港補給地区の倉庫地区の大半、キャンプ・キンザー、こういったところも十年後ぐらいですよね、たしか。「二〇二五年度又はその後」と、オア・レイターまでついているんですけれども、やはり、なぜこのくらいかかるのかということについてわかりやすく説明していく必要があるんだというふうに思うんですね。
 これは政府委員でも結構なんですけれども、少し説明いただけますか。

○伊原政府参考人 今先生御指摘のとおり、今回の統合計画につきましては、できるだけ、どういうプロセスでそれぞれの土地が返還されるのか、単にその目標の年次を示すだけではなくて、そこに至る手順について明らかにするとともに、それぞれの手順にかかる期間、これを終えるのにどれだけの日数がかかるかということについても、米側とすり合わせをした上で、それを全て統合計画の中に書き込んでおります。
 そういう意味では、ここに示された何年度というのは、こういう手順をしっかり踏んでいけば確実にその年度までにはできるということで書いておりますが、同時に、それぞれの手順において今予見されないような問題もあり得る、あるいはさまざまなおくれる要因もやはりあるので、そういうことも含めて全て、できるだけ客観的に計画の中に盛り込んで、これをもとに、三年ごとにレビューをしながら、この計画達成のために日米で協力をしていこう、こういうことでございます。

○玄葉委員 再編のロードマップというか、昨年の2プラス2の合意の中に、日米の相互運用のレベルを上げる、そういう目的で、グアム、テニアンの共同訓練場を整備しようではないかということで合意をしたんですけれども、その後どうなっていますでしょうか。

○徳地政府参考人 御答弁申し上げます。
 グアムと北マリアナ諸島における自衛隊と米軍が共同使用する施設についてでございますが、まず、二〇〇五年十月の2プラス2の共同発表の中で、役割、任務、能力のために、二国間の安全保障・防衛協力の態勢を強化するための不可欠な措置の一環として、まさに先生御指摘の共同訓練、演習の機会の拡大というものがございました。
 これに基づきまして、今御指摘の点につきましては、昨年四月の2プラス2の共同発表を踏まえまして、地域における動的防衛協力を促進するという観点から、これまで、日本側と米側双方の訓練上の所要、あるいは日米間の具体的な費用分担とかいうような問題について、細かな実務的な協議を行っておるところでございます。
 今後、具体的な協力の分野を特定するためにしばらくお時間をいただきたいと考えておりますけれども、先ほどのような、もともと、二〇〇五年の2プラス2の共同発表に基づきまして、役割、任務、能力の強化という観点からやっておるものでもございますので、しっかりと進めてまいりたいと考えております。

○玄葉委員 北朝鮮の問題でありますけれども、何かもう時間がなくなってきたので、幾つか指摘しておきたいというふうに思うんです。
 ありとあらゆる事態に対応しなければならないと思って、今、警戒を強めているというふうに思いますけれども、金正恩氏の意図というものをどう見ているかというのを、岸田外務大臣、答えられる範囲でお答えいただけますか。

○岸田国務大臣 北朝鮮の意図について私が明確に申し上げる立場にはないわけでありますが、北朝鮮のたび重なる挑発的な言動については、まことに遺憾なことでありますし、まず、国際社会としては、こうした言動に振り回されることなく、そして、こうした言動を繰り返しても何のみずからの利益にならないことをしっかりとわからせる、こうした明確なメッセージを伝えることが重要だと考えております。
 今後とも、国際連携を強めながら、まずは、北朝鮮に、非核化を含めて真摯な態度を示すよう、明確な態度を示すようしっかり働きかけていく、そして、国際社会が連携してさきの国連安保理決議等をしっかり実施していく、こういった態度をとりながら北朝鮮の態度の変化を促していく、こうした方針で北朝鮮の状況を見守っていくということになると考えております。

○玄葉委員 日米韓の連携が重要なのは言うまでもないんですが、この圧力と対話の力点の置き方で温度差を感じるんですね。今、杉山局長がアメリカに行っているという報道がありますけれども、ここは、足並みをそろえないと北朝鮮の思うつぼだというふうに思うので、ぜひこれは、外務大臣、ケリー長官ともよく話をしていると思うんですが、本当に呼吸を合わせてほしいです。
 それと、ミサイル、核実験も心配ですけれども、延坪島の砲撃事件の拡大版みたいなものもあり得るんじゃないかというふうに思うんですね。そうなってくると、従来からよく委員会などでも指摘をされていたんですけれども、邦人保護の問題が出てくる。もちろん北朝鮮の拉致被害者の方々の問題もあるんですけれども、韓国内の邦人保護に万全を期すのにどれだけのことをやっているかということだと思うんですね。
 これはなかなか言いにくいところもあるかもしれませんけれども、いわゆるNEO、非戦闘員の退避計画であるとか、他国との協調、韓国ともこれはやはり協議をしていかないといけないという課題だと思いますから、ぜひこれは、外務大臣、意識をしてもらいたいと思います。
 それと、中国がこの問題に果たす役割というのをどう考えるかということですよね。多くの人が指摘をします。先ほど、安保理決議を着実に実行に移すということなんですけれども、この安保理決議というのは、平松さんいますけれども、結局、報告だけで、レビューできないんですよね。日本は真面目に全て実施するんですよね。だけれども、どうも、措置済みである、実施済みである、そういうことをしていない国というのが出てきている。
 だから、簡単に言えば、中国がどれだけ本気でこの北の問題を考えるかということにかなりの程度この問題は行き着くという側面は、私はあると思っているんですね。何だかんだ言って、中朝貿易はまだまだ盛んです。もともと中朝は、いわば軍事同盟的な、自動介入ではないですけれども、条約を持っています。
 ですから、この中国の問題、特に安保理決議の実効性の問題等々もよく考え、最終的に、北朝鮮が、戦略的に核を放棄した方が得であるというふうにどう追い込むかということを、各国が連携してしっかりとやっていかなければならないだろうというふうに思います。指摘だけにとどめます。
 最後に、きょうはハーグ条約の委員会でありますので、一問だけ。これは私たちが提出をしていたものなので、質問するというのはいかがかと思うんですが、全く質問しないというのも問題であるということのようでありますので。
 このハーグ条約で、G8で日本のみがまだ未締結だったわけでありますけれども、これは、子供の利益が最重要であるという観点で構成されるのだということであります。
 そして、子供がもともと居住していた国で親権を行使するというのが基本であるということだと思うんですが、その中に、子の返還を拒否することができる三つの事由というのがあって、一つ目は、子が一年以上新しい環境になじんでいる、二つ目は、子が返還されることを拒んでいる、三つ目が、返還することにより、子供に対する暴力その他の、心身に害悪を及ぼし、または子を耐えがたい状況に置くこととなる重大な危険がある場合等と、こうあるわけであります。
 例えば、日本の女性が海外でDVを受けた、被害を受けたというケースが想定されるんですけれども、外国でDVがあったということを証明するというのはかなり難しいと思うんですね。そうなると、外務省の在外公館が相当支援をしていかないといけないのではないかというふうに思いますけれども、その点についていかがでしょうか。

○岸田国務大臣 御指摘のように、海外におけるDVにつきましては、裁判で証明することに困難を伴う場合も想定されます。この点において、在外公館の役割は大変重要だと認識をしております。
 在外公館では、DVを含む家族問題に関して在留邦人の相談を受けた際、相談記録というものをつくるわけですが、こうした相談記録を本人に手渡すとか、あるいは裁判所に提出する、こうしたことも可能であります。
 こうしたさまざまな支援を在外公館としても果たしていかなければならないというふうに思いますし、また、裁判所が、当該国におけるDVの実態調査が必要と判断した場合には、我が国の中央当局に対して調査嘱託を行うということも可能であります。これを受けて、中央当局が、当該国の中央当局に対して情報の提供を求める、こうしたことも想定されます。
 こうしたさまざまな仕組みを活用しまして、海外におけるDVを裁判において証明する困難を乗り越えていかなければいけないと考えています。

○玄葉委員 終わります。
 

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