衆議院議員 玄葉 光一郎(げんば こういちろう)の公式ウェブサイトです

本文とグローバルメニュー・サイドメニュー・フッターへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

玄葉光一郎事務所 Koichiro Gemba Official web site

お電話でのお問い合わせ

東京都千代田区永田町2-2-1衆議院第一議員会館819号室 

ともに乗り越える。

本文のエリアです。

国会議事録一覧

外務委員会(平成26年5月30日 議事録)

○玄葉委員 玄葉光一郎です。
 集団的自衛権の問題について質問したいと思うんですけれども、きのうの晩、日朝の合意が発表されました。通告をしておりませんけれども、一、二、外務大臣にお尋ねをしておきたいというふうに思います。
 私も二〇一二年に四年ぶりに政府間協議を再開させたときの責任者の一人であるわけであります。守秘義務もありますから、当時のことを余り申し上げることはできませんけれども、今回の合意の内容について、いわば予測の範囲内というふうに申し上げてよいのだろうというふうに思っています。
 素直に期待をしています。全ての特定失踪者を含む拉致被害者の帰国が実現できるように全力を尽くしていただきたいというふうに思っております。
 一、二、気になるのは、一つは調査を開始する時点で制裁を解除するという内容なんですよね。これは、最初に合意内容を聞いたときに、おやっという感じを持ったところであります。普通は、調査状況を見て、成果を確認した上で制裁を解除するのが普通ではないかというふうに考えますけれども、この点についてはいかがですか。

○岸田国務大臣 まず、基本的に、今回の合意に基づいて再調査を進めるに当たりまして、しっかりとした成果を上げなければいけない、結果を出さなければいけない、これは当然のことだと思っています。
 そして、今回、特別調査委員会の設置で合意したわけですが、特別委員会が調査を開始する時点で、北朝鮮側から、特別委員会の組織、構成、あるいは責任者、こういった具体的なものについてしっかりした通知をもらった上で調査を開始するということを確認しています。
 そして、これは文書の中で確認しているわけですが、拉致問題の調査に関しまして、調査の状況を日本側に随時通知する、こういったこと、さらには、調査の進捗に合わせ、日本側の提起に対し、それが確認できるよう、日本側関係者による北朝鮮滞在、あるいは関係者との面談、さらには関係場所の訪問を実現し、そして関係資料を日本側と共有し、適切な措置をとる、これを文書で確認した次第であります。
 こういったものをまず文書でしっかり確認し、そして何よりも、調査の開始時点で実効性のある組織を確認し、その上で、我が国としての措置の一部を解除していこうということを今回決定した次第であります。
 結果としてしっかりとした成果が上がるべく、こういった対応で全力を尽くしていきたいと政府は考えている次第です。

○玄葉委員 先ほど申し上げたように、一つの考え方ではあると思うんです、調査開始時に制裁を一部解除する。ただ、普通は、成果を見て、成果が出たら解除していくという考え方をとるのではないかと思うんですね。
 逆に申し上げれば、もし最初に制裁を解除して、そのいわゆる権威ある特別委員会が調査を開始した、そうすると、残念ながら一定の期間を過ぎても成果が出ないとなれば、当然これは再び制裁を戻す、解除した制裁を戻す、こういうふうに考えていいわけですね。

○岸田国務大臣 まず、先ほど申し上げましたように、特別委員会の調査が開始する段階で、しっかりとした調査委員会の体制、組織、責任者を確認する。そして、それ以前に、既に文書におきまして、日本側としてこの調査にどのようにかかわってくるのか、これを確認しているわけですが、その上で我が国として措置の解除を考えるわけですが、これはあくまでも一部であります。我が国が現状行っている措置の一部をその段階で解除するということで合意した次第であります。
 ぜひ、まずは、しっかりと特別調査委員会の権限ですとかあるいは体制について確認をし、調査を進めていきながらも、しっかりと我が国としまして調査の中身を把握するべく努力をしていきたいと思いますが、その上で、この調査の状況をしっかり確認し、我が国として、成果が上がるべく適切に対応していくということについては、状況を見ながら考えていくべき問題であると考えています。

○玄葉委員 簡単に申し上げれば、やはり最初から、一部制裁といっても、一部といっても結構な制裁解除を思い切ってしているなという印象なんですね。人的往来の規制措置、送金報告、携帯輸出届け出の金額に関して北朝鮮に対して講じている特別な規制措置、及び人道目的の北朝鮮籍の船舶の日本への入港禁止措置、これを解除。
 これが解除されて、しかし、委員会の報告を聞いてもなかなか成果が出ないというふうになったときには、再びこの制裁を科していくということですね。逆に言えば、思っていたとおり、いや、思っていた以上の成果が出てきているというふうに判断すれば、逆に制裁をさらに解除していく、そういうことなんじゃないんですか。

○岸田国務大臣 今回の日朝協議における合意ですが、これは、まずは北朝鮮側からこうした問題解決に向けて強い意思を表明し、そして対象も、全ての日本人にかかわる問題を対象とし、そして、この対応につきましても、より具体的なものをしっかり明記する、こういった文書を確認したという意味で、これは意味があったと思います。
 まずは、この一致した内容につきまして、お互いがしっかりと果たすべき義務を果たしていく、これが何よりも重要だと考えています。そして、そのために全力を尽くした上で、内容についてしっかりと評価し、そして、必要であるならば、さらなる対応を考えていくというのが物の考え方の順番ではないかと存じます。今の段階で早々と、こうであったらどうかというようなことを申し上げるべきではないと思います。
 まずは、しっかりと一致した内容を追求し、その上で、状況をしっかりと把握し、対応していく、こういった方針で臨んでいきたいと考えています。

○玄葉委員 非常に慎重な答弁なんですけれども、簡単に言えば、物の対応の基本を伺っているということでありまして、制裁カードを有効にどう活用するかということであります。
 ですから、もう一回確認しますけれども、成果が出なければ制裁を戻す、つまり、制裁解除を戻す、あるいは制裁をさらに科す、成果が思っていた以上に出れば、より解除していく、そういうことは十分考えながらこれから対応していくということでよろしいですね。

○岸田国務大臣 具体的な対応について今の時点で申し上げるのは適切ではないと思いますが、いずれにせよ、最大限の成果を上げ、そして北朝鮮側から最大限前向きな態度を引き出すために最も効果的な対応を考えていきたいと思います。

○玄葉委員 二〇一二年は弾道ミサイル発射があって中断に至りましたけれども、これから軍事挑発も十分あり得るというふうに思いますが、そうなった場合の対処方針は決めておりますか。

○岸田国務大臣 北朝鮮に対しては、従来から対話と圧力の方針のもとに臨んできました。圧力の部分につきましては、人、金、物、こういったものを絞り込むことによって、北朝鮮の経済状況を考えますと、一定の効果があったと考えています。
 そして、その上で、一年四カ月ぶりに対話を再開し、そして今日、再調査の実施ということで一致をした次第であります。こうした合意に基づいて、北朝鮮の前向きな対応をしっかりと引き出していきたいと考えております。
 今後の対応につきましては、状況を踏まえまして、最も効果的な対応を引き出すべく全力を挙げていきたいと考えております。
 北朝鮮の挑発行為等につきましては、引き続き各国と連携しながらしっかり対応していきたいと考えています。

○玄葉委員 やはり、弾道ミサイルあるいは核実験、こういう挑発は、こういった交渉の最中も、あるいは調査委員会が調査をしている最中もあり得ると思います。やはり、そのときの対応というのをあらかじめ、外に向けて発表する必要はないと思いますけれども、考えておく必要があると思うんですけれども、その点についていかがですか。

○岸田国務大臣 今後の状況の変化等について、今の段階で予断的に申し上げることは控えなければならないと思いますが、あらゆる事態に対応するべく対応を考えておくということは重要なことではないかと存じます。
 ぜひ、しっかりと状況は注視していきたいと考えます。

○玄葉委員 それでは、本日の本題に移りたいと思います。
 集団的自衛権のことでありますけれども、先日、岡田衆議院議員が予算委員会で安倍総理と質疑をしていた、その質疑の模様を聞きました。そのときに出ていて、まだよくわからないところが何点かあるのですが、きょうは一点だけ質問したいと思います。つまり、近隣有事の際の米艦船初め他国の船舶による邦人輸送の問題であります。
 安倍総理としては、どの国の船であれ、邦人が乗っていれば、それは、日本はその攻撃排除のために、いわば守りをしなければならない、こういうふうにおっしゃったわけであります。当然そうだと思うのですが、問題は、これは集団的自衛権の行使という形で説明できるのかどうなのかということがこの間も話題になったわけであります。
 米艦は当然説明できるのでありますが、他国籍の船舶というのは、邦人が乗っていて日本に向かっている、その他国籍の船舶を日本国が守ろうとする、その船舶への攻撃を排除しようとするのは、これは集団的自衛権の行使によって行うものなのでしょうか。
 事前に通告をしておきましたので、政府を代表して正確な答弁をしていただきたいと思います。

○武藤政府参考人 安倍総理は、五月二十八日の衆議院予算委員会において、次のような趣旨のお答えをされております。
 一つは、米国のみが集団的自衛権の対象になるわけではない、二つ目、退避する邦人がどこの国籍の船に乗っているかにかかわらず、我々は退避する邦人の命を守る責任を負っている、それから三つ目として、我々は何をすべきかを検討する必要があるということでございます。
 いずれにいたしましても、お尋ねの件につきましては、個別具体的な状況によるものでございまして、一概に申し上げることは困難でございます。
 現在、まさに与党協議が進められているところでございまして、以上のような観点も含めて、具体的事例に即して検討してまいりたいと思っております。

○玄葉委員 ちょっと今のは全く答弁になっていないと思うんですね。きちっと丁寧に通告をしたんです。
 もう一度申し上げますけれども、米国以外の他国籍の船舶への攻撃排除というのは集団的自衛権の行使で説明可能ですかというふうに聞いているんです。全然質問に答えていない。

○鈴木委員長 では、質問に答えるように。
 内閣官房武藤内閣審議官。

○武藤政府参考人 我が国による集団的自衛権の行使ということについては、まさにそのことについて、現在、安保法制懇の報告を受けまして、与党とも協議を進めているところでございますので、今の段階で結論を申し上げるということは控えさせていただきたいと思っております。

○玄葉委員 ちょっと待ってくださいよ。抽象論とか観念論で議論しないようにしましょうと言ったのは総理大臣ですよ。具体的な事例で議論しましょうと。しかも、私は、朝鮮半島とか、具体的な国の名前を挙げていないんですよ。
 一般論で答えてくださいと言っているのに、それも答えられませんというのは、これはさすがに、私はかなり温厚な方だと思いますけれども、これは委員会を続けられないですよ。

○岸田国務大臣 今の御質問を聞いておりまして、ちょっと私の考えを申し上げますが、今委員が挙げられた例につきましては、米国であれA国であれB国であれ、どの国であっても、今の我が国の憲法解釈、個別的自衛権においては対応できないという問題意識について総理は記者会見の中で言及し、これでいいのかという問題提起をし、ぜひ議論をしてもらいたい、こういう発言をされたものと私は承知をしております。

○玄葉委員 そこの部分はわかるんですよ、そういう問題提起だったということは。
 ただ、今それを、いわば今は何もできないので、日本国として、これから研究をして、それを可能にしようではないか、こう言っているわけですよね。それを可能にするときに、これは集団的自衛権の行使によってそれが可能になるのですかということなんですね。まさにそのことを今、国会とか与党で協議しましょうということだと思うんです。
 まさにそのことずばりをお聞きしているわけで、それを私は事前にきのう丁寧に説明して、私もよくわからないから、きちっと政府として整理をして説明してほしい、こういうふうに申し上げたはずなんですね。

○山田政府参考人 この点については、先日、内閣委員会で御説明したことでございますので、それに従って御説明申し上げます。
 一般国際法上、ある船舶に攻撃が加えられた場合に、それを排除するために武力を行使する、個別的自衛権を行使できるのはその船舶の旗国であるということが原則でございます。
 したがいまして、米船または他の国の船舶でありましても、攻撃を受けた船の要請または同意に基づき、我が国が、我が国自身が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、それを排除するために実力を行使した場合は、これは我が国による集団的自衛権の行使というふうに国際法上は評価される可能性が高いものと考えております。

○玄葉委員 山田さん、もう一回。
 要は、集団的自衛権の行使の要件というのは、今おっしゃったように、ある国が武力攻撃を受けました、その武力攻撃を受けた国が要請または同意をしなければならない。これは、たしかICJのニカラグア判決で明確に述べているんですよね、国際法上。
 そうすると、今、旗国主義とおっしゃったんだけれども、例えば、世界の船はパナマ船籍なんというのが多いわけですよね。現実に日本人を退避させるなんというケースは、パナマ船籍の船に乗ってくるなんというケースはこれから多々出てくる可能性は高いんですね。十分想定されるケース。
 そうすると、パナマに対して同意または要請を求める、こういうことになるんですか。

○山田政府参考人 国際法上は、旗国がまず第一義的に個別的自衛権を行使する立場にあるというのが原則ではございます。
 ただし、これは個々具体的な事案に基づいて判断すべき点でございまして、例えば、その船をある別の国がチャーターしたような場合、それで運航しているような場合だとか、また、その船にある特定の国の人が乗っている場合であるとか、また、攻撃者の意図が明白に、ある特定の国を攻撃する意図を持って、その国の方々が乗っておられる船舶を攻撃したということが明示されている場合とか、さまざまな要素を判断した上で評価していく必要がございます。
 ですから、原則は旗国でございますが、ただ、それ以外の国に対する組織的、計画的な武力行使が行われたと評価し得るに値するような状況があれば、それはそれ以外の国に対する武力行使と評価し得る場合もございます。

○玄葉委員 では、そうすると、例えば米国がチャーターしましたといったら、米国の要請または同意でいいということを多分今おっしゃったんでしょう、ある意味。そういうこともあり得ますと。まだはっきりはわからぬけれども、個別具体的にこれから状況全体を見て判断することになるということなのでありますけれども、ちょっとまだここは政府の見解が、一言で言うと、定まっていないというふうに思いますね。
 ですから、私が申し上げているのは一般論ですから、つまり、集団的自衛権の行使をする、しない、そのことを申し上げているわけではなくて、一般論として、他国籍船舶の攻撃排除も集団的自衛権行使という形で説明が可能ですかということなので、まさに一般論なんですね。
 だから、この一般論としての政府の見解を、外務委員会として、これはきちっとまとめて提出してもらうというふうにしてもらえないですか、委員長。

○鈴木委員長 理事会において協議いたします。

○玄葉委員 それでは、その次に、五月十五日、安倍総理の記者会見を聞きました。そのときに、先ほども岸田大臣が答弁をされておられるように、法制懇で示された二つの考え方のうち、一つは芦田修正論なるものであって、この考え方はこれまでの憲法解釈と論理的に整合しないので採用しない、こういうふうにおっしゃった。
 一方で、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるときには限定行使が許される、憲法の前文、憲法十三条の趣旨から、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要最小限度の武力行使は許されるという考え方については研究を進めるのだ、こういうふうにおっしゃったわけであります。
 確認をしたいんですが、そうすると、これまでの憲法解釈と論理的に整合する範囲でのみ集団的自衛権の行使というものを限定的に容認していく余地があるということでの研究を進めるというふうに理解をしてよろしいんですね。

○岸田国務大臣 今、論理的に整合する範囲で議論を進めるのかという御質問でありました。
 その範囲という意味について、ちょっと私も定かではありませんが、少なくとも、今御紹介いただいた二つの考え方、後者について、我が国としましては、論理的な整合性、法的安定性ということを重視し、そして従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方であるから研究を進めていこうという判断をした次第であります。

○玄葉委員 逆に言うと、これまでの憲法解釈と論理的に整合性がとれない、そういうさまざまな事例が出てきたら、仮にそれは日本国にとって必要性があるというふうに感じても、これについては、いわば集団的自衛権の行使について、これまでの憲法解釈と論理的に整合性がとれないので認められない、こういう結論になるということですね。

○岸田国務大臣 事実、安保法制懇の報告書の中で、芦田修正に基づく考え方については、これまでの政府解釈と論理的に整合しないということで、採用できないと判断しているわけであります。
 政府としましては、論理的な整合性あるいは法的安定性、これは大事にしていきたいと考えています。

○玄葉委員 この集団的自衛権の行使の問題で議論がなされるときによく引用されるのが、一九七二年の政府見解と一九八一年の答弁書であります。
 これも全て質問通告してありますので、法制局長官にお答えをいただきたいと思いますけれども、一九八一年の答弁書は、集団的自衛権の行使は必要最小限を超えるから憲法上許されないというふうに述べているわけであります。
 今回の研究の余地があるというふうにされているのは、簡単に言えば、自衛のための必要最小限の集団的自衛権は許されるのであるという考え方について研究を進めるということだと私は理解をしていますし、個人的には私も一つの考え方だと思うのでありますが、ただ、この一九八一年の答弁書は明確に、集団的自衛権の行使というのはその範囲を超えるものであって、その範囲を超えるというのは、その前の文章で、「自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであつて、憲法上許されないと考えている。」と。
 もし、必要最小限度の集団的自衛権というものを許容するということになったときには、この一九八一年の憲法解釈の答弁書というのは、見直しをするというか、変わるというふうに考えてよろしいのですか。

○横畠政府特別補佐人 御指摘のありました、昭和四十七年の参議院決算委員会に提出された政府統一見解や昭和五十六年の稲葉誠一衆議院議員に対する政府答弁書で示しております憲法第九条に関する従来からの政府の基本的な考え方は、憲法第九条は、その文言からすると、国際関係における武力行使を一切禁じているように見えるが、憲法前文で確認している国民の平和的生存権や、第十三条が生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、憲法第九条が、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることまでをも禁じているとは解されず、いわゆる自衛権発動の三要件を満たす場合に武力を行使することは例外的に認められているということでございます。
 このような武力の行使は、国際法上、個別的自衛権の行使に当たるものであり、他方、集団的自衛権は、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利であり、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とするものであるため、そのような武力の行使は憲法上許されないと解してきているところでございます。

○玄葉委員 先ほど申し上げたように、私、かなりわかりやすく申し上げていると思うんですけれども、八一年の答弁書は、必要最小限度を超えるから憲法上許されない、こういうふうに言っているわけです。
 今研究しようとしているのは、必要最小限度の集団的自衛権は許されるということについて研究を進めていくと言っているわけで、仮に、その研究が進んで、必要最小限度の集団的自衛権はあるのだというふうに認めていくということになれば、さっき申し上げた八一年の答弁書の内容というのは、当然、見直しが図られたということになるのですねと聞いているんです。

○横畠政府特別補佐人 いわゆる限定的な場合における集団的自衛権の行使の問題につきましては、現在、安倍総理が示した基本的方向性に基づきまして与党協議が進められており、その結果に基づいて政府としての対応を検討することとなると承知しておりまして、現時点でお尋ねそのものについて予断的なことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

○玄葉委員 いやいや、私、もう一回ちょっと聞きますけれども、もちろん、質問というのは、当然、一定程度の仮定を置かないと質問できない、一般論として聞いているというふうに理解をしてもらえばよいのであって、これから研究が進んで、さっき申し上げたようなものはまさに研究の本質でしょう、つまり、必要最小限度の集団的自衛権は、自衛のためだったら、我が国の平和と安全に重大な影響があって、我が国の存立を全うするために必要だったら許されるのだということについて研究を進めるわけですから。
 そうしたら、さっき申し上げたような八一年の答弁書はそれを真っ向から否定しているわけなので、当然、そこは変わるんですねと聞いているんです。

○横畠政府特別補佐人 繰り返しになりますが、具体的にどう変わるか、あるいは変わらないかなどについて現時点でお答えすることは、お許しいただきたいと思います。

○鈴木委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○鈴木委員長 速記を起こしてください。
 内閣法制局長官に申し上げますが、なるべく御質問と回答がかみ合うように、具体的に答えるように努力してください。
 内閣法制局長官。

○横畠政府特別補佐人 純粋に一般論としてお答えいたしますが、基本的な部分は変えないということはもう方針でございます。仮に、全く仮にでございますけれども、結論が変われば結論は変わるということであろうと思います。

○玄葉委員 こういうことでしょう。つまりは、憲法前文だとか憲法十三条の趣旨を踏まえていく、我が国の平和と安全、存立全う、こういう今までの一種の基本法理というものは変えないのだということを多分今おっしゃったんだと思う。
 その上で、最後の部分の結論、つまり、その結果として、自衛のための必要最小限の集団的自衛権は憲法上許されるのだというふうに変われば、その部分の結論はまさに変えざるを得ない、こういうことですね。

○横畠政府特別補佐人 ただいま一般論としてお答えしたとおりでございます。

○玄葉委員 そういうことなんだろうと思います。
 きょうはそれ以外もたくさん質問通告をしておりましたが、時間が参りましたので、もう一問だけ。
 一つは、武力行使との一体化論、このことについて、安保法制懇は、これは採用すべきではないということを示しました。それに対して安倍総理は、安保法制懇の意見はとらないということで、武力行使の一体化論というものをいわば否定はしないという中で、判断基準をより精緻化するというふうに答弁をいたしました。非戦闘地域、後方地域、こういった概念も言及がありましたけれども、これをもっとわかりやすく具体的に説明していただけますか。
 例えば、周辺事態において、例えば戦闘作戦行動準備を行っている米軍の戦闘機に対して給油、整備ができないというふうに今の周辺事態法ではなっているわけであります。なぜならば、武力行使との一体化があり得るからというのが理由であります。
 こういった戦闘作戦行動準備中の米軍に対して給油、整備ができない、万が一そういう事態になったときに、今申し上げたようなことが起きれば日米同盟関係を大いに損なうことになるので、この武力行使の一体化論についてはもう少し判断基準をいわば明確にして、精緻化して、その結果として、今申し上げたような戦闘作戦行動準備中の米軍機の給油そして整備、こういったものは可能になるようにしよう。簡単に言えば、こういうことですね。

○岸田国務大臣 御指摘のように、安保法制懇の報告書における、武力の行使と一体化の考え方はもはやとらないとする考え方、これは従来の政府の立場に照らして難しいとした上で、これまで、後方支援に関しまして、我が国として武力の行使と一体化することがないことを担保するための仕組みとして、非戦闘地域あるいは後方地域、こういった考え方を採用してきました。
 この点につきまして、後方支援について今まで以上に支障なくできるようにすること、これは極めて重要であるという考え方に立ってこの議論をしていくべきである、このように考えております。
 ぜひ、こうした考え方に基づいて、これからしっかりと丁寧に議論を進めていただくことを期待しております。

○玄葉委員 私は、周辺事態で、戦闘作戦行動準備中の米軍機に給油、整備ができないというのは、日米同盟上、やはり問題はあると思っているんですよ。だから、この部分については、やはり柔軟に、武力行使の一体化のところできちっと解決をしていく必要があるというのは私の考え方でありまして、外務大臣としては基本的にはそういう方向で検討がなされるべきだとお考えですか。

○岸田国務大臣 我が国としまして、今後とも、国際貢献そして後方支援につきましても、今まで以上に支障なく進めていくためにはどうあるべきなのか、こういった考え方で議論を進めることは大変重要だと考えております。

○玄葉委員 最後に、南シナ海のことで、安倍内閣総理大臣が記者会見でおっしゃったのですが、記者の質問にお答えになられて、南シナ海の状況に、この集団的自衛権容認によって、日本の役割、貢献がどう変化するとお考えでしょうかと。直接お答えになっていないのですが、「私たちが検討をするのは、まさにこのような状況でありました。このような状況が発生したとき、日本人の命に危険が迫っているにもかかわらず何もできなくていいのかということであります。」「安全保障の分野では様々な事態が起こり得るわけでありますが、今、申し上げましたように、私たちが検討しているのはこうした事態である」と。
 そうすると、この南シナ海の今のパラセル、スプラトリー、あるいはスカボロー、こういう状況があるわけでありますけれども、今回の集団的自衛権のいわゆる行使容認の研究、限定容認の研究によって、この南シナ海での日本国の役割、貢献に変化というのはあるのでしょうか。

○岸田国務大臣 総理の発言について、詳細、今まだちょっと確認をしておりませんが、我が国としましては、今、南シナ海において発生している事態、これは国際社会全体の関心事項であると認識をし、そして、まさに我が国として、こういった力による現状変更等は許してはならない、こういったことをまず念頭に発言されたのではないかと存じます。
 そして、我が国の国民の生命、暮らしを守るために、あらゆる事態に対応するべく切れ目のない法的基盤をつくっていかなければならない、こういったことが重要であるということを表明されたのではないかと存じます。
 我が国の対応につきましては、今与党において議論を始めていただいているわけですが、ぜひ政府としましても、こうした丁寧な議論の積み重ねによってしっかりとした方針を確定したいと考えています。

○玄葉委員 一般論で最後に聞きます。
 南シナ海の状況がこういう状況にございます。仮に、A国とB国の紛争が生じて、米国がB国の支援に出たという状況というのは私はあり得ない話ではないと思うんですけれども、具体的に言うともっとわかりやすいんですけれども、余り特定の名前、特定の国を挙げてもいけないと言われますから、あえて一般論で聞いているんですが、そうしたらば、A国が、米国が入ってくるのを防ぐために、南シナ海に機雷を敷設した。その機雷の掃海を米国から日本は頼まれた。
 もし、今回、集団的自衛権の限定容認というものが実現をして、戦闘中も機雷掃海ができるということに仮になった場合は、今のような事態、つまり、機雷掃海というのは、南シナ海だけではなくて、むしろホルムズ海峡ばかり言われていますけれども、海上交通路の要衝なわけですけれども、南シナ海で仮にそういうことが起きた、そして米国から要請を受けたなどという場合は、機雷掃海を行うという可能性は否定はできないというふうに考えていいですね。

○岸田国務大臣 もちろん、今の議論は特定の事態や地域を念頭に置いて議論しているものではありませんが、我が国としましては、我が国の国民の命、暮らしを守るために、あらゆる事態に備えるため、切れ目のない対応をするために、法的基盤のありようについて議論しているわけです。
 あくまでも、我が国の安全にとって重大な影響がある場合、こういった限定的なケースにおいて、集団的自衛権の行使等が必要最低限の範囲内に入るのではないかという考え方について研究を進めているところであります。こういった考え方に基づいての研究において、今の例についてもどのように考えるかというのが定まっていくものだと考えております。
 いずれにしましても、これは、我が国の国民の命、暮らしを守る、こうした大きな、大切な目的のために、政府として、政治として、どうあるべきなのか、真剣に考えていきたいと考えます。

○玄葉委員 時間が来ましたので、今度またゆっくりやりたいと思います。どうもありがとうございます。
 

ページトップへ