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平成18年を迎えて~懐の深い日本に

 芥川賞作家玄侑宗久さんによると、正月とは昨年一年間の歪みを修正する月だから正月というそうだ。日本の進路も修正が必要だ。

 日本はもっと懐の深い社会・国家を目指すべきである。

 懐の深い社会とは、深みと味わいのある豊かさを実感できる社会であり、脆弱な単層社会ではなく重層的な奥の深い社会である。

 「コク」と「キレ」の両立する社会といってもよいかもしれない。アサヒのスーパードライがかつて「コクがあるのにキレがある」というキャッチコピーで大ヒットを飛ばしたが、今の日本は「キレ」だけを追求しているようにみえる。耐震構造偽造問題、ライブドア騒動、米国産牛肉問題はそれと密接不可分である。

 

 懐が深い社会を築くためには次の点が重要になる。

① 地方や農漁村の豊かさ。

② 多様で質の高い厚みのある中間層の存在。

③ 機会均等のための階層間移動の確保。

④ 長期的視野に立った教育・R&D投資。

平成18年度予算案、税制改正、三位一体改革の迷走などを見る限り、上記の点を重視しているとは言い難い。喫緊の課題である少子化対策も東京一極集中を放置・加速させる中ではどんな対応策も対症療法でしかない。国土構造や生き方の根本的再考が必要である。

 「新しい公共」の概念を作り出すことも大切だ。かつては「滅私奉公」といわれたが、これからは「活私豊公」(かっしほうこう)である。個々人の得意分野を活用して公を豊かにする社会。できるだけ少ない税金で、生き甲斐のある、自己価値を実現しやすい、満足度の高い社会を創り上げることこそ政治家の腕の見せ所である。

 外交にももっと「懐の深さ」が必要である。この場合の懐の深さとは、包容力としたたかな戦略を併せ持つ奥行きのある外交のことである。このことについてはまた別途記したいと思う。

 民主党は、今年「脱皮」しなければならない。ひとまわりもふたまわりも大きく成長しなければならない。そのために、民主党の目指すべき社会像及び外交・安保政策について徹底した党内議論をおこなう。従来にも増して質の高い地力のある国政候補予定者の選定作業や来年の統一選での地方議員倍増計画を進行させつつ、「脱皮」するために今までやや避けてきた感がある基本政策の統一のために国民・党員・サポーター・各級議員との「対話」を真に深める年にしたいと思う。

平成18年6月19日 「懐の深い日本を創る (講演より)」

 内外情勢調査会郡山支部での講演より抜粋 (平成18年6月19日)

 

 私は、日本は「懐の深い社会・国家」を目指すべきであると考えています。

 深みと味わいのある豊かさを実現する社会、脆弱な単層的社会ではなく、深みのある重層的な社会を創り上げたいと思っています。

 

 ミッシェル・アルベールは著書「資本主義対資本主義」の中で、資本主義には苛烈な競争主義もあれば、穏やかな自由主義等たくさんの種類があると述べています。私は、今日の日本はやや前者の競争主義に傾きすぎているのではと危惧しております。日本には日本独自のバランスがあってよい。市場主義改革はまだ必要であるが、市場原理主義・市場偏重になる必要はないのです。

  「八百万の神への信仰」「和の精神」に象徴されるように、我々日本人には“寛容で、おおらかで、異なるものもやさしく包み込む”という精神性が、脈々とDNAに引き継がれてきていると私は確信しております。

  「欧米の個人主義」と「日本の八百万・和の精神」を高度に調和した日本独自のバランスを創りあげるべきであり、これを具現化した社会こそが、深みと包容力を兼ね備えた「懐の深い社会・文化」であると考えております。 

 

 先日、1.25ショックが永田町を走り、改めて少子化対策に注目が寄せられている中、政府より乳幼児の養育費援助や児童手当の拡充などの少子化政策が打ち出されました。 しかし、このような対策でこの深刻な問題が解決できるのでしょうか。平均所得が1位の東京都が出生率0.99でワースト1位、逆に所得最下位の沖縄県が出生率1.72で全国トップという統計をみても、この少子化問題が金銭だけで解決できるものではないことが推測されます。

  子供を産むということは、ある意味最も効率がよくないことであり、採算が合わないことであります。人々が効率を追い求めるという価値観の社会が続けば、少子化もますます進むのではと強い危機感を感じています。

  また、地方では「親」が無料の育児コンサルタントであり、保育・託児施設の役割を担ってくれます。こうした育児に恵まれた環境が、都市部に比べ少子化の進行を食い止めている大きな要因になっていると思います。この視点から考えると、東京一極集中の政策を改めない限り、少子化問題の抜本的解決は得られないのです。

   少子化対策という国の最重要課題において、政治が取り組むべきは、先日政府が打ち出したような小手先の対処策ではなく、いま一度国土構造の在り様や、国民のライフスタイルといった国や社会の根幹を見直し、その新たな「かたち」を人々に提示してゆくことではないでしょうか。

 

 ここ2~3年ぐらい前から、陳情の内容が大きく変わってきました。

  昔は道路建設の促進というのがかなりのウェートを占めていましたが、今日最も多いのは、救急医療を担う中核病院の勤務医の不足です。特に産科・小児科・脳外科医の不足は多くの公立病院などで切実な問題となっております。

 解決策は2つ。

 ひとつは、現在構造改革特区に申請中ですが、県立医大の地元枠の定員を増員することであります。しかし、自治体が独自で定員を増加させることを国はこれまで認めてきませんでした。医師の需給バランスを調整するのは国の責任であり、また、全国的にみると医師数は過剰状態であるので認められないというスタンスです。私は国のこの姿勢は間違っていると思いますが、もし、国が強固にその主張を貫くのならば、医師の地域偏在も国の責任で是正すべきであると思います。

  ふたつ目は、医療制度の面からの解決であります。例えば、開業の条件にこうした中核病院での勤務を義務づけるなどの思い切った策を打たなければならないでしょう。  就労の機会という面においても、地域間にはっきりと格差が出始めております。私の事務所には、愛知県選出の議員事務所から新卒者を紹介してほしいという依頼が多く寄せられますが、その愛知県の有効求人倍率が1.72、一方青森県をみると0.48。この5年間で地域格差は2倍から4倍へと広がっております。これら医療や就労の機会の格差に代表される、急速に広がりつつある地域間格差も、もうそろそろ限界にきているのではないか。「懐の深い社会」では、本人の努力とは無関係の住む場所による「機会の格差」を縮めていかねばなりません。

 

 懐の深い社会を築くために、私は4つのテーマに取り組んでゆきたいと考えております。

 

 1つ目のテーマは、豊かな地方・農村、美しい田園、質の高い居住空間であります。豊かな地方・農村の再生には、先程述べました地域間格差や本人の努力とは無関係の「機会の格差」を解消してゆかなければなりません。また農林水産業の抜本的改革、地域発のイノベーションを振興してゆくことも必要です。

美しい田園風景の存在も大切です。

昨今、景観の重要性が見直され始め、昨年6月には景観みどり3法が施行されました。先進的な自治体では一部取り組みが始まっておりますが、多くの自治体・地域では、まだ充分活用されていないようです。また、今国会では、まちづくり3法が改正され、それに先駆けて福島県でも昨年商業まちづくり条例が制定されました。人々がまちづくりの重要性について再認識し始めたのです。私は「街なみ」があるのであれば「村なみ」があってもいいと思います。農村の風景ももっと真剣に考えるべきであり、ただ自然環境を維持してゆくというのではなく、いかに意識的に美しい景観を作るかということが大事であると思います。美しい田園風景は、そうした取り組みと農業政策の根本的転換が相まってできあがってゆくのです。

 「景観十年、風景百年、風土千年」という言葉もありますが、長期的視点に立って考え、取り組んでゆかなければならないテーマであります。

質の高い居住空間。

後で述べる成長戦略とも関連しますし、間接的に少子化問題とも関係する課題です。 現在も日本人の半分が住宅に不満をもっており、もっと質の高い住居に住みたいと考えています。視点をかえると非常に大きな潜在需要が眠っているのです。住宅産業というのは関連産業が多業種におよび、その経済波及効果はとても大きい。また、良質の地元材を使用した住宅に税制面でのインセンティブを与えれば、低迷する森林業の活性化にも一役買うことができます。英国のように住宅には消費税をかけないということさえ検討していくべきだと思います。

 2つ目のテーマは、多様で、質の高い、厚みのある中間層です。

 ここ数年間で、これまで中間層を形成していた人達の下流への移動が始まっています。数字で見ますと、この5年間で生活保護世帯は75万から100万世帯へ、国保の滞納世帯は400万から1045万世帯へと急増しました。就学援助児童数は36%増加し、今では10人にひとりが援助を受けている状況であります。まさに総中流階級といわれた中間層が崩壊を始めています。

  私は、国家が安定して発展してゆくためには、厚みのある中間層の存在が不可欠であると考えております。そのためには、個人各々の質・レベルをいかに上げてゆくかということが課題となります。税制面での支援、また正規雇用・非正規雇用問題の是正、公教育の充実などに取り組む必要があると考えております。

 3つ目のテーマは、質の高い精神性、高い道徳性の涵養であります。

 新渡戸稲造が「武士道」のなかで述べた日本人に流れる武士道精神。内村鑑三が「後世への最大遺物」のなかで人が後世に残す最大のものは、その人の生涯そのものであり、生き様であると述べたその価値観。我々のDNAに流れる高い精神性や公共概念を多くの人々に発揮してもらうこと、またその精神的価値を高めてゆくための教育を行ってゆくことが肝要であります。

   新たな公共の概念として、私は“滅私奉公”ではなく、“活私豊公”という言葉を提案しています。自らの得意分野を活用しながら公を豊かにしてゆく。参加する人々が楽しみながら自らの能力を活かして公に貢献するということです。本日ご出席の根本町長さんの矢祭町は「第二役場」をつくったそうです。職員OBでつくる第二役場はボランティアで担われ、「役場」のスリム化、矢祭町の自立に大いに活用されていくでしょう。

 4つ目のテーマは、日本の潜在力の蓋を開けるということであります。

 二宮尊徳は「経済と道徳の一元論」を唱え、「道徳のない経済は犯罪である。経済のない道徳は寝言である。」と言っております。精神性・道徳性の高い「懐の深い社会」を築きつつ、どうやって経済成長を成し遂げてゆくのか。その成長戦略の要は、日本人の潜在力の蓋を開けることだと考えています。

  私が民主党「次の内閣」の総務担当時、NTTからガリバー規制を解除してほしいと強く要望されました。私は決して首を縦に振らなかった。そして今振り返ればその規制が残されたことによって、当時1500世帯であったブロードバンドサービス加入世帯数は5年間で1500万世帯にまで急増し、その普及率は世界でも最高水準のレベルにまでなりました。

  このように、日本人には大きな潜在力がある、政策・制度設計などでその力をうまく導き出せば、一気にそのパワーが開花するのです。時代に対応した規制の整理を行えば、今後もまだまだ大きなビジネスが生まれてくると思います。

私は将来的には、「生産性倍増計画」というものを練り上げたい。

 経済成長=労働力人口×一人当たりの生産性ですから、今後年60万のペースで人口減少が進む日本が経済成長を維持・発展させてゆくためには、一人あたりの生産性を上げるか、高齢者・女性等に働いてもらい労働人口の減少を食い止めるしかありません。私は、実際にはマスコミ等で騒がれているほど労働人口が急減するとは思っていません。働く女性は増加しておりますし、一度リタイヤした高齢者のかなりの方々が働かれるのではと予想しています。しかし、将来を見越し、生産性を大幅に高める努力をしてゆかなければなりません。国家として大きな戦略を創りあげなければならないのです。

  主なターゲットとなるものは、燃料電池やロボット、ナノテクといった新技術になるでしょうが、各産業分野においてイノベーションを起こしてゆかなければなりません。できれば、地域発で複数の小さなイノベーションを同時多発的に起こせれば、地域経済への波及効果も相乗的に上がるでしょうし、国家戦略として仕掛けなければなりません。

  分権改革も地域のもつ潜在力の蓋を開けるチャンスと捉えています。

 現在の三位一体改革は、その根本的目的をほとんど果たしていません。基本的には地方6団体が提案されているように、もっと大胆に権限・財源を移譲し、地方の活力を再生するための改革でなければなりません。

  道州制特区の北海道とノルウェーを比較してみますと、人口は北海道560万人、ノルウェー460万人、面積も北海道のほうが大きい、緯度はノルウェーの方が高い。しかし、一人あたりのGDPはノルウェーが日本の1.5倍もある。このGDPの差は、なぜ生じるのか、日本は国の仕組みとして地域の潜在力の蓋を開けてないのではないでしょうか。

  大幅な分権改革は既得権を手放せない政治勢力では成し遂げることはできません。残念ながら、まだまだ「補助金分配作業」を本来の仕事と勘違いしている国会議員が多数存在しています。

  そういう意味においても、政権の交代を行わねばなりません。

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