2025年(前半)鑑賞映画
☆5つが満点
*「敵」 ☆☆☆☆ 吉田大八監督・脚本、長塚京三、瀧内久美、河合優美 老い方を60歳(私の年齢)にして考える良い題材だった。幻覚、妄想、悪夢、後悔など。 長塚演じる老学者の淡々とした暮らしぶり、その中における所作がとても美しい。作る料理のどれも美味しそう。79歳というがとても若々しい。 老いという「敵」を味方に変えて自らの後半生を歩む気概を持ちたいものだと思わせた作品。
*「小学校~それは小さな社会~」 ☆☆☆ 山崎エマ監督 日本のふつうの公立小学校の様子を小学校1年生、6年生、それに教師たちにスポットを当てて描いたドキュメンタリー。フィンランドでロングラン上映され、いわば逆輸入。日本の義務教育の良い部分を再確認させてくれる。日本は全国どこでも小学校において規範やルールをしっかり教えている。 10年以上前にアラブの在京大使から「道端に落とした財布が交番に届くのは日本だけ」と称賛されたことを思い出した。
*「トワイライト・ウォリアーズ」 ☆☆☆ ソイ・チェン監督、ルイス・クー 香港での観客動員数歴代一位とか。この種のアクション、任侠ものはそもそも好みでないが息もつかせぬアクションは飽きさせない。任侠ぶりは日本顔負け。 かつて九龍(クーロン)城塞という無法地帯のスラム街が確かにそこにあって、見事なセットでリアルに味わえたことは収穫だった。
*「おいしくて泣くとき」 ☆☆☆☆ 横尾初喜監督、長尾謙杜、當真あみ 泣かせてみせようという意図がありありだが、実際に涙腺は緩む。ハッピーエンド。 「自分の意思で決めて生きることこそ幸せ」など印象的なセリフがいくつか。記憶喪失でも味と音、においは覚えているものなのか・・・
*「能登デモクラシー」 ☆☆☆ 五百旗頭幸男監督 ボラ待ち櫓(やぐら)に象徴される待ちの姿勢、声を上げない文化を揶揄(やゆ)する映像が続く。大地震をきっかけに変化の兆しをやや肯定的に描いて見せる。 惰性を批判するより、小さくてキラリと光る、人が減っても幸せが増しているような地域活性のドキュメンタリーこそ見てみたい。
*「ラブ・イン・ザ・ビッグシティ」 ☆☆☆ イ・オニ監督、パク・サンヨン原作、キム・ゴウン、ノ・サンヒョン すごい人気だが理由がわからない。多様性のメッセージは明白。 現在の韓国大都市におけるゲイの位置づけが表現されておりそれは参考にはなる。テンポもいいがお勧めしたいとは思わない。
*「国宝」 ☆☆☆☆☆ 李相日(りさんいる)監督、吉田修一原作、吉沢亮、横浜流星、三浦貴大、高畑充希、寺島しのぶ、田中泯 見事なまでにつくり込まれ、よく演じられている。 原作、脚本もいいのだろうが李監督の編み奏でるチカラに拍手したい。二人の主役を中心に演技が素晴らしく田中泯さんも光る。 血統か才能か。実力だけの世界とは必ずしもいえない世界での葛藤もうなずける。 |
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