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外務委員会(平成26年4月25日 議事録)

○玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。
 外務大臣、御苦労さまでございますが、日米首脳会談が昨日行われました。外務大臣も同席をされておられたというふうに思いますので、この日米首脳会談でテーマになった点を中心に議論させていただきたいというふうに思っています。
 まず冒頭、共同声明がまだ発出をされていないということでございます。この共同声明発出の状況、まさか出ないということはないのではないかというふうに思いますけれども、その点について、また、澁谷審議官、首脳会談後もTPPの交渉が今なお続いているという報道でありましたけれども、その状況について御説明いただけますか。

○岸田国務大臣 今回のオバマ大統領の訪日、米国大統領の国賓としての訪日は十八年ぶりということで、改めて今回のオバマ大統領の訪日、そして日米首脳会談、大きな期待が寄せられていたわけですが、それに見合う大きな成果が上がったと認識をしております。
 そして、共同声明についてですが、今現在最終調整中だと委員会に入る前に報告を受けておりました。この最終調整を経て発出されることを期待しております。

○澁谷政府参考人 TPPにつきまして御説明いたします。
 昨日の日米首脳会談の前に、先々週から東京、ワシントンと、甘利大臣とフロマンUSTR代表との間で既に四十時間近く協議を行っているわけでございますが、昨日の首脳会談で、さらに閣僚間で精力的かつ真摯な交渉を継続するよう指示があったため、昨日の午後、再度閣僚同士で協議を行いました。また、昨晩は、けさの明け方まで事務方同士での作業が続けられたところでございます。
 首脳会談と閣僚同士の協議を通じまして、日米間の重要な懸案について道筋を確認したというところでございます。
 今後、日米が協力してTPPを早期妥結に導くことが重要であり、他の参加国との協議を日米が連携して加速化していくということについて両国で確認をしたということでございます。

○玄葉委員 まず、最終調整中の共同声明ですけれども、恐らく、岸田外務大臣が今回の大きな成果だとおっしゃったその理由は、いわゆる尖閣を含めた日本の施政にある領域に関する五条適用というのを大統領自身が明言されたということだと思いますが、このことも最終調整中の共同声明にしっかりと書き込まれるというふうに考えてよいかどうかということが一つ。
 あと、澁谷さんには、現実のところ、我々報道でしかわからないのですけれども、何がどこまで詰まっているのか、そもそも議題になっているのはどの分野なのか、少なくとも車と農産物ということはオバマ大統領自身が会見でおっしゃっているわけでありますが、その点について説明ください。

○岸田国務大臣 今最終調整が行われている共同声明について、日米安全保障条約五条が尖閣を含む地域に適用されるという点について盛り込まれるかということでありますが、まだ最終調整中ですので、私から内容について明らかにするのはちょっと控えなければならないと思いますが、当然のことながら、昨日の共同記者会見におきましても、オバマ大統領みずから、御指摘の点については明言をされております。それを踏まえた共同宣言が出されるものと考えております。

○澁谷政府参考人 日米で議論の中心となっておりますのは、いわゆる農産物の重要五品目と自動車ということでございます。
 論点としては、それぞれについてかなりの論点にわたるわけでございますが、間合いは確実に縮まってはきておりますけれども、正直、行ったり来たりのところもございます。一つとして完全にセットされたものはない状況でございます。
 よく大筋合意であるとかいろいろ言われますけれども、そういう形のものではなくて、むしろ間合いを縮めながら、事務方で整理すべきもの、閣僚できちんと判断をしていくべきものということの整理もあわせて続けているということで、先ほど道筋について確認したというのはそういう趣旨でございます。

○玄葉委員 せっかくなので、澁谷審議官。
 一つとして完全にセットされたものはないのだというお話でありました。
 例えば、報道であれば、米とか麦とか砂糖の関税は少なくとも大枠維持されるのだ、そういう報道があるわけです。特に焦点になっているのは肉で、牛肉、豚肉の関税の率、下げる率であるとか、あるいは差額関税制度そのものであるとか、あるいは自動車では安全基準であるとかという報道なわけでありますけれども、行きつ戻りつしながらそういったことについて議論しているというのは、大体そう考えてよろしいんですね。

○澁谷政府参考人 交渉事は全てパッケージでございますので、交渉の仕方として、このテーマについては合意をして、ピンどめをして、次に移ろうという交渉の仕方もあるかと思いますが、日米の交渉の実態を申し上げれば、全体をパッケージとして議論していくという中で、そういう意味では、特定の項目について俗に言うピンどめをしているとか、そういう状況にはなっておりません。

○玄葉委員 その点はわかりました。ピンどめができている状況ではないのだ、全体をパッケージなので、ここは大体セットできそうかなと思ったら、ほかのテーマが出てきて、それもまた御破算になって議論を蒸し返される、こういう状況が続いている、こういうふうに考えてよろしいですね、確認ですけれども。

○澁谷政府参考人 御指摘のとおりでございますが、行ったり来たりの振幅がだんだん狭まってきているという趣旨でございます。

○玄葉委員 はい、わかりました。
 それで、日米首脳会談に戻りたいというふうに思いますけれども、今回の日米首脳会談全体の評価について、改めて外務大臣にお伺いをしたいと思います。

○岸田国務大臣 今回の日米首脳会談におきましては、まず、両国首脳間におきまして、日本の積極的平和主義、そして米国のアジア太平洋重視政策、こうした政策が地域の平和と繁栄に資するものであるとして、相互に評価し、歓迎をした上で、今後とも、平和で繁栄するアジア太平洋地域を実現するために日米同盟が主導的な役割を果たしていく、こういったことを確認することができました。
 両国首脳間におきまして、安全保障あるいは経済等、二国間関係につきましてもしっかり意見交換をすると同時に、アジア太平洋地域の地域情勢についても意見交換を行い、さらには、グローバルな課題におきましても日米で協力をしていく、こういった点も確認をすることができました。
 こういったことによりまして、日米同盟が強靱なものである、揺るぎないものであるということを内外にしっかりと示すことができた、これが今回の首脳会談におきまして大きな成果だと認識をしております。
    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

○玄葉委員 私も、まだ共同声明文も読んでおりませんし、きのうの共同記者会見をテレビで拝見しただけということでございます。
 その中での印象を私自身申し上げると、日米が結束を確認できたという点は一定の成果だというふうに思います。ただ、やはり、靖国神社への参拝を契機とした日米のぎくしゃく感というのは、私が見た印象では、まだ残っているなというのが率直なところでありました。
 先ほど岸田外務大臣が評価された、また私自身も評価したところは、日米安保五条の尖閣への適用を大統領御自身が共同会見で御自身の発言として世界に発信をしたというところであります。これは確かに、一つは、大統領は軍の最高司令官だということがまずあります。これまでも、国務長官も国防長官も言及をされていましたけれども、今回は大統領みずから言及をしたということは、素直に私は評価してよいというふうに思うんです。
 特に、私もこの間心配だったことは、オバマ政権も第二期になったわけですけれども、外交、安全保障を支える方々が結構かわったんですよね。ホワイトハウスから発信される発言というのが正直弱いなというふうに感じていた面もあったんです。
 個人名を挙げてしまってよいのかどうかということはありますが、私の言葉じゃなくて、ある識者の言葉をかりてあえて言えば、例えば、ライス補佐官が大学で講演をされた、そのときに、いわゆる米中の新しい大国関係のモデルをつくるのだというふうに、いわば中国側からの要望をそのまま受ける形で応えるということがあったわけです。
 これは、今までのパターンでいくと、中国は、そうあったときには、当然、そうであれば、お互いのいわゆる核心的利益を尊重し合おうではないかという話に大体なる。その核心的利益に例えば尖閣を含めようみたいな話をしてくる可能性があるわけです。ですから、私は、ホワイトハウスからたまに出てくる発言に対して、大丈夫かなという気持ちを少々持っていたわけです。
 でも、今回、大統領みずからがしっかりこういう形で発言されたということで、私はその点は、先ほど申し上げましたが、評価をしたいというふうに考えているわけです。
 ただ、同時に、きのう、共同会見を見ておりましたらば、あえて、オバマ大統領は、アメリカは中国とも緊密な関係を保っているのだという発言をされました。また、あわせて、領有権に対する立場は示さない、こういう発言をたしかしたと思います。
 あえてこういう言葉もオバマ大統領が共同会見の場で発言をされたということについて、岸田外務大臣はどのようにお考えになられますか。
    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

○岸田国務大臣 御指摘のオバマ大統領の発言、まず、日米安全保障条約第五条は日本国の施政のもとにある領域に適用されるものであり、米国政府は、尖閣諸島が日本国の施政のもとにあり、日米安全保障条約第五条の適用範囲にあるとの米国の立場ですが、今までも、米国国務長官あるいは米国国防長官等関係者から発言されていた内容と一致するものであります。
 しかしながら、御指摘のように、今回、米国の最高責任者である大統領から、直接みずからの言葉としてこういった考えが表明されたこと、これは大変大きな発言であったと考えております。
 そして、領土の問題についての考え方について御指摘がありましたが、その点につきましても、これは従来の米国が示してきた考え方と一致している、変わらないというふうに認識をしております。
 そして、中国は、言うまでもなく、現在、世界第二の経済大国であります。こうした中国が平和裏に発展すること自体は、我が国としても、あるいは国際社会としても歓迎すべきことであると考えております。中国が、今後とも、国際法を初めとする法の支配に基づいて、国際社会と協調する形で平和裏に発展するということを期待することは、米国にとっても、また我が国にとってもあるべき姿勢ではないかと考えています。
 まずは、日米同盟の強靱さを今回改めてしっかり示すことができたわけでありますが、日米同盟を中心に、アジア太平洋地域の平和とそして繁栄のためにしっかり努力をするべく、これからも政策を進めていきたいと考えております。

○玄葉委員 私、先ほど、一定の成果はあったんですけれども、ぎくしゃく感が残っているなというふうに思ったというのは、何となく、会見での息が合う合わないという問題もありますし、結局、中国の問題も、領有権の立場は示さないと大統領御自身があの場であえて言う必要はないのではないか、考え方は変わっていないんですよ、だけれども、あの場で言う必要はないのではないかという思いもあるし、TPPで政治決断を首脳同士されなかったということもあります。
 また、ウクライナの問題でのメッセージ、少なくとも共通のメッセージが非常に弱いということもあったので、私から見ると、会見しか私は見ていないので、少なくとも会見を見ていてそのように感じたというのが私の感想です。
 さて、その上で、中国との関係改善を、ある意味、あの場で求められたようなところがあると思うんですけれども、中国との関係改善についてはどのようにしていきますか。

○岸田国務大臣 我が国にとりまして、日中関係は、言うまでもなく、最も大切な二国間関係のうちの一つであり、日本と中国は世界第二の経済大国、第三の経済大国でありますので、やはり、この二国間関係を安定させることは地域や国際社会の平和や安定にも、そして繁栄にもつながる、こういった意味で、二つの国は大きな責任を担っていると考えます。
 ですから、我が国としましても、戦略的互恵関係の原点に戻って、大局的な見地からこの二国間関係をしっかりとコントロールしていかなければならないと従来から思い、そしてそういった考え方を示してきています。
 そして、実際、今、日中関係は難しい局面の中にあるわけですが、難しい局面にあるからこそ、さまざまな対話、特に高い政治のレベルでの対話が重要であるということを申し上げてきました。
 残念ながら、現在のところ、二国間においては政治の高いレベルの対話が実現していないというのが現実だと思いますが、幸い、日中間には、民間レベル、地方自治体レベル、あるいは文化を初めさまざまなレベルにおいて、長い交流の歴史が存在いたします。こうしたさまざまな分野、そしてさまざまなレベルでの意思疎通を積み上げることによって、ぜひ高い政治のレベルでの対話を実現したいと考えております。
 ぜひ、中国側にも我々のこうした考え方をしっかり受けとめていただきたいと考えています。

○玄葉委員 昨年末、訪中しました。外務大臣にも事前に申し上げたと思います。中曽根元総理の平和研の依頼を受けて、シンポジウムに出席をするために訪中をしました。
 そのときに、私のときのカウンターパートであったヨウケツチさんが、元外相が今は国務委員ということで、中国の場合は出世ということだと思いますけれども、国務委員になられていて、彼と三、四十分ぐらいですかね、話をしました。多分、記録を残しておきましたので、読まれたかもしれません。
 簡単に申し上げると、ADIZのことがあったので相当の応酬になったわけですけれども、ただ、明確だなと思ったのは、政治と経済、文化、自治体交流というものを完全に分けて話をしていたということが大変印象的でありました。政治は簡単には譲歩しない、だけれども、やはりお互いの国益を考えたら、経済、文化、自治体交流をやろうと。これは明確でした。
 だから、何とかきっかけはつかめるかなと、記録を読まれたかもしれませんけれども、私自身、いろいろあっても、外相同士、首脳同士、話をしないとだめだという話を何度か彼にも言いました。これは、党派を超えて、国益の観点で彼に伝えたところであります。
 私は、きっかけをつかめる可能性があるなと思っていたんですけれども、ただ、その後、総理大臣の靖国参拝がありまして、また何か御破算に戻ったみたいな、そういう感じなんですね。
 だから、この間も外務大臣に申し上げたんですけれども、首相の靖国参拝については、外務大臣はやはりもっと強く進言すべきだし、これからもそうあるべきだというふうに私は思います。この間も申し上げましたけれども、小泉さんのときは、ある意味、もっと丁寧な配慮をすべきだったと表で外務大臣はおっしゃっているんですね。
 その点については、外務大臣は当時と考えが変わったんでしょうか。変わらないという中で、今、外務大臣として総理大臣と向き合っているというふうに考えてよいのでしょうか。

○岸田国務大臣 靖国参拝につきましては、日本国内においてもさまざまな意見があります。
 そして、そういった中にあって、政府としましては、総理が靖国を参拝された、このことについて、まずは、この対応について、政府としてしっかりと考え方を整理しなければいけない、これは当然のことでありますし、そして、その上で、総理の靖国参拝の真意について、しっかり国の内外に説明をしてきている、これが政府としての対応であります。
 こうした説明、そして考え方につきまして、丁寧に確認をし、作業を行わなければいけない、こういった意味では、従来と全く変わっていないと存じます。
 ぜひ、こうした問題につきましては、今後とも、総理自身もこれからしっかりと説明努力を続けていきたいと表明をされております、政府としましても丁寧に説明責任を果たしていきたいと考えています。

○玄葉委員 ちょっと確認したいんですけれども、平成十八年だったかと思いますけれども、岸田外務大臣は、小泉総理大臣の靖国参拝については、もっと丁寧な配慮をすべきだった、結果としてそうだ、政治問題化、外交問題化してしまったというふうに述べていますけれども、このことについての考え方は変わっていないというふうに考えてよろしいですか。

○岸田国務大臣 御指摘の平成十八年の時点で、私が、小泉総理の靖国参拝が政治問題化した、外交問題化したと申し上げたかどうかはちょっと記憶は定かではありませんが、丁寧な対応が重要であると言ったことについては記憶をしております。
 こうした、日本の国の中においてもさまざまな議論がある問題については、やはり国の外に対しましても丁寧に説明をし、そして対応していかなければいけないという基本的な考え方については同じだと考えております。

○玄葉委員 話題をかえます。
 きのう日米首脳会談に同席をされておられたわけでありますけれども、この中で、例えばガイドラインの見直しなどについての議論というものはあったのでしょうか。

○岸田国務大臣 昨日の日米首脳会談の中にあって、改めて、安全保障分野においても日米同盟の重要性そして強靱性、こういったものが確認をされたわけでありますが、その議論の中で、今後ともしっかりとした日米同盟に基づいて協力を進めていかなければならない、こういった議論が行われ、その中にガイドラインの見直しも項目として挙がっていたと記憶しております。

○玄葉委員 当然、アジア太平洋のパワーバランスが変わっているので、このガイドラインの見直しについては、我々の政権のときにも、当時は防衛大臣は森本大臣でありましたけれども、ともに進めていこうということを考えていたわけです。
 特に私が気になっているのは、集団的自衛権の問題よりも、いわゆるグレーゾーン事態への対処なんですね。余り特定の事態を明確に議論し合うというのはいかがかという議論もそれこそあるのでありますが、いわゆる有事未満だけれども平時以上である、そういう事態というのは十分あり得るわけです。
 現実に、私も担当していたころに、今だから申し上げますが、やはり非常に気になったのは、いわゆる偽装漁民などが大量に上陸をするなどという事態に対してどう対応するのかということについてはその一つだったわけですけれども、これに対応するとなると、今のままで十分なのかということが一つ、関連して、自衛隊法の改正が必要だというふうに考えるのかということ、もう一つは、その際の、いわゆるグレーゾーン事態における米軍の役割というものも求めていくのか、それぞれについて外務大臣はどうお考えですか。

○岸田国務大臣 御指摘のグレーゾーンの議論、今例として挙げられました、偽装漁民が我が国の離島に上陸した際にどう対応するか、その際に、シームレスに我が国としてしっかり対応できる体制ができているかどうか、こういった指摘、これは大変重要な指摘であり、我が国としまして、現状を考えますときに、改めてこの体制を検討し、そして十分かどうかを考えていかなければいけない大切な、重要な課題だと考えています。
 それだからこそ、今、安保法制懇の議論、集団的自衛権と憲法の関係ばかりが強く焦点が当たっていますが、この安保法制懇の議論においては、集団的自衛権の議論のみならず、集団的安全保障の議論ですとか、PKOの駆けつけ警護の議論ですとか、あるいは邦人保護の議論等も行われ、そして、あわせて、御指摘のこうしたグレーゾーンに対する対応につきましても議論が行われていると承知をしております。
 ぜひ、この部分につきましても、有識者会議の議論の成果をしっかりと確認した上で、政府としましてどう対応するのか、これを考えていかなければいけない、こうした課題だと考えています。

○玄葉委員 ここで、確かにシームレスな対応が求められると思いますので、私もこのことは非常に大事な課題だというふうに認識をしていますので、できるだけスピーディーに対応していかねばならないというふうに思います。
 きのう、共同会見を聞いていて、盛んにオバマ大統領から、紛争の平和的な解決、法と規範、あるいは国際法という話が出ておりました。安倍総理からも、法をたっとぶ地域であるとか、法の支配であるとかという言葉が繰り返し述べられていたわけであります。
 これは、私は以前も申し上げましたが、法の支配におけるチャンピオンに日本はなるくらいの気概でこの分野を頑張るべきだ、ルール形成力を養うべきだというふうにこの場でも申し上げてきたわけでありますけれども、有識者の一部に、あるいは国際社会の一部にですけれども、私の考えとはちょっと違うんですけれども、こういう考え方をする人がいるんですね。
 尖閣の問題について、国際司法裁判所、ICJで解決をしていくのがよいのではないか、そういうことを言う方がいるのでありますが、その点について、現在の政権の立場を説明していただきたいと思います。

○岸田国務大臣 国際法を遵守する、法の支配という価値観を大切にしていく、こうした考え方は、ウクライナにおける動きですとか、あるいは東シナ海、南シナ海における動きにおいても、改めてこの重要性を感じるところです。ですから、こうした国際法の遵守ですとか法の支配という考え方の重視というのは、国際社会全体として大変重要な考え方であると思っております。
 そして、その中にあって、尖閣において、ICJへの提訴との関係においてどう考えているかということでありますが、この尖閣をめぐる状況に対する我が国の立場ですけれども、尖閣諸島は歴史的にもあるいは国際法上も我が国固有の領土であり、我が国は有効に支配しているからして、そもそも尖閣をめぐっては領有権の問題は存在しないというのがまず基本的な我が国の立場であります。
 ですから、ICJへ付託するか否かという問題は、我が国が言い出す話ではないというのがまず基本的な立場であります。
 もし、ICJへの付託等を考えるとしたならば、我が国のこうした有効支配に挑戦しようとしている国、中国において考えるべき問題であるというのが我が国の基本的な考え方です。

○玄葉委員 その立場は私も変わりません。
 もし、中国側からICJで解決しようという呼びかけがあった場合は、どうされますか。

○岸田国務大臣 中国がICJに付託しようとするという動きにつきましては、今のところ、私は全く承知をしておりません。
 ですので、仮定の話を私の方から申し上げるというのは、またさまざまな影響を発生させることになるので、控えたいとは思います。
 もし、そうした質問を発するとしたならば、中国側に対して向けられる質問ではないかと考えております。

○玄葉委員 あえてもうこれ以上言いません、これは。
 力による現状変更に明確に反対だということを、私もそうですけれども、それは安倍総理も、きのう、会見で何回もおっしゃっていました。そして、国際法重視ということを強調していたわけです。
 当然、中国向けにそういうことを強調するわけですけれども、同時に、明らかな国際法違反であるというふうに安倍首相自身が断言をするロシアのクリミア併合、あるいはウクライナへの行為に対して、どうも、そういういわゆる言葉を言っているだけで、結局のところ、実効性のある制裁というのはほとんど何もやっていないんじゃないかという意見が当然出てくるわけですけれども、きのう、オバマ大統領は、この問題についてもっと踏み込んだ共同歩調というものを求めたのでありましょうか。

○岸田国務大臣 昨日の首脳会談におきましては、まず、安倍総理の方から、ウクライナ問題をめぐる米国の強いイニシアチブ、これを評価するということを申し述べました。そして、総理は、力による現状変更は許されないということ、そして、これは一地域の問題ではなくして国際社会全体の問題であるということを述べました。
 そして、あわせて、安倍総理の方からは、先日の四者協議によるジュネーブ宣言、これは平和解決、あるいは外交的解決に向けた第一歩であるという評価を行い、こうした宣言がぜひ着実、そして円滑に実施される、これが重要であるということをオバマ大統領に申し上げました。こうした我が国の姿勢については、米国側も理解を示していただいたと感じております。
 この問題につきましては、ぜひロシアに対してしっかりとしたメッセージを伝えていかなければならないわけですが、その際に、我が国としても、米国を初めG7諸国との連携をしっかりと重視していく、こういった姿勢は確認できたと考えております。
 ただ、我が国あるいはG7関係各国、それぞれの立場があります。ロシアに対しまして、自制した責任ある行動を求めていく、平和的、外交的手段によって問題を解決していくために責任ある行動を求めなければなりませんが、その際に、それぞれの立場においてそれぞれの働きかけを行っていく、こうした努力は重要なのではないかと考えています。

○玄葉委員 それでは、もっと踏み込んだ共同歩調というのを求められたというわけでもないというふうに考えてよいのかどうか。
 また、きのう、共同会見では、盛んに欧米の記者から、オバマ大統領に対して、いわゆるロシアへの追加制裁の話が何度も何度も質問されていましたね。オバマ大統領の頭の中もかなりそちらの問題が占めているんじゃないかと私は想像するんですけれども、追加制裁をアメリカが行うような事態になってしまったとすれば、日本も一定のレベルでおつき合いをする、こういうことですか。

○岸田国務大臣 我が国としましては、まずは、米国を初めG7各国、さらには関係国との連携をしながら、この問題を平和裏に解決するためにどうしたらいいのかしっかり努力をしていく、これは大変重要な姿勢であると考えております。
 そして、ウクライナ情勢、今後とも流動的であります。五月二十五日には大統領選挙が予定されている。また、今現在も、憲法を初めさまざまな議論がウクライナ国内で行われています。そして、今後も、OSCEの国際監視団がウクライナに派遣される。この監視団に対しましても我が国はしっかりと支援をしていくことをきょう閣議決定したわけでありますが、こういった動きもあります。
 こうした動きを注視しながら、最も適切な対応をG7各国等としっかりと連携しながら考えていく、これが我が国の基本的な考え方であると思っております。

○玄葉委員 多分これはいろいろな考え方があって、ロシア、せっかく仲よくなったのに、またすき間風が吹いちゃうと、むしろ、中国の問題を考えたって、中ロが接近しちゃうんじゃないかとか、ただ一方で、何か有効な制裁が打てないと、中国は逆に息を凝らして見ていて、こういう力わざをやったって国際社会はその程度なのね、こういうふうに考える可能性もあるんですよね、この問題というのは。だから、私、よく考えて手を打っていかないといけないということだけ申し上げておきたいと思います。
 北朝鮮に対して、拉致、核、ミサイルへの共同対処を日米首脳会談で確認できたと思いますし、拉致被害者の皆様との大統領の面談もかないました。あわせて、日米韓、そして中国との連携が大事だということも確認をしたというふうに共同会見からは見受けられました。
 二〇一二年十一月に、私ちょうど担当しておりましたけれども、日朝の局長級協議が行われたわけであります。そのころのことを、守秘義務がありますから、私も余り申し上げるわけにはいかないのでありますが、ただ、今回、それ以来の局長級協議が行われたわけでありますけれども、これは、いわゆる当面の成果目標については、二〇〇八年八月に約束された、全ての拉致被害者についての再調査を行うということを当面の成果目標にしている、こういうふうに考えてよろしいですか。

○岸田国務大臣 先日行われました日朝政府間協議ですが、一年四カ月ぶりに再開をされました。そして、二日間にわたって議論が行われたわけですが、先般の協議におきましては、双方が関心を有する幅広い諸懸案について率直かつ真摯な協議が行われたということでありますが、今後とも協議を続けていく、こういったことで一致をしております。よって、まだ次回の日程は確定していませんが、協議は続くことになります。
 現時点で、具体的な目標ですとか協議の中身について申し上げるのは、協議が続くことになりますので、具体的なことを申し上げるのは控えたいとは思いますが、ぜひ、引き続きまして、協議を行うことによりまして、我が国としまして、具体的な、真摯な態度を北朝鮮に求めていきたいと考えております。
 いずれにしましても、我が国の北朝鮮に対する基本的な方針、対話と圧力のもとに、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイル、この諸懸案を包括的に解決していく、こういった方針には変わりないと考えています。

○玄葉委員 核実験あるいはミサイル発射の兆候が取り沙汰されているのでありますが、その点について、特に今回の局長級協議との関係で、どのようにお考えですか。

○岸田国務大臣 まず、北朝鮮の核開発あるいはミサイル開発につきましては、我が国としまして、情報収集、情報分析、こういったものに引き続きしっかりと努めていかなければならないと思いますし、努めているところであります。
 現時点での状況については、インテリジェンスとの関係もありますので、明らかにするのは控えたいと存じますが、引き続きましてしっかりと注視をしていきたいと存じます。
 そして、そうした動きに対して、日朝政府間協議との関係でどうかという御質問をいただきましたが、これは実際の状況をしっかり確認した上で、我が国として、先ほど申し上げました諸懸案を包括的に解決する上において最も適切な方法は、対応は何なのか、こういった観点から具体的に考えていく課題だと考えます。

○玄葉委員 当然、協議の中では、我々が求めるところと北朝鮮が求めるところとあるわけでありますけれども、例えば制裁の解除について取り沙汰されていて、古屋担当大臣は、拉致被害者全員が戻ってこなければ、制裁解除はおろか、一円の支援もしない、こういう発言をされておられるわけでありますけれども、制裁解除と拉致、核、ミサイルの解決の問題、どういうふうにリンケージを考えておられますか。

○岸田国務大臣 こうした北朝鮮に対する措置のあり方につきましては、政府内で不断の検討を行っているところでありますが、現時点では何も決まったものはありません。引き続きまして諸懸案解決のために最も効果的な方法を考えていく、最も効果的な方針をとっていく、こういった考え方は従来から変わっておりません。
 ぜひ、今後の状況をしっかり見きわめた上で、最も効果的な対応を検討していきたいと考えています。

○玄葉委員 日韓関係を時間をかけてやりたかったんですが、何か残り五分になってしまっているので、またいずれのときかにしたいと思います。
 ただ、ちなみに、韓国のことは日米首脳会談では出ましたか。

○岸田国務大臣 日米首脳会談におきましては、アジア太平洋地域の情勢についてもさまざまな意見交換が行われました。その中においても、当然、韓国の話題は議論になりましたし、そして、地域情勢に対する考え方として、日米韓の連携が重要である、こういった議論も行われておりました。
 こうした形で、韓国につきましても首脳会談の中で取り上げられておりました。

○玄葉委員 残り五分、TPPにまた戻りたいと思うのですが、正木さんに来ていただいていますけれども、アメリカにおける大統領貿易促進権限法案、いわゆるTPA法案についての審議状況及び、その内容がホームページで公開されています、その内容について説明をいただきたいのですが、特に、TPA法案の議会及び議員への情報アクセス部分の内容について説明をしてほしいと思います。
 議員のテキストへのアクセス及び交渉プロセスへの参加などについてお願いをしたいと思います。

○正木政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のTPA法案につきましては、御案内のとおり、本年一月九日に米国議会に提出されまして、一月十六日に上院の財政委員会で公聴会が行われたと承知しておりますが、その後、審議が行われたというふうには聞いておりません。
 この法案の中身は、審議もこれからでございますので、日本政府としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、御質問の、現在の法案の中に議員に対する情報提供に関してどのような規定があるかという点については、私どもとしては次のような内容があると承知しております。
 一つは、交渉の過程におきまして、米国の通商代表は、連邦議会の議員から要求があった場合には、交渉目標や交渉の進捗状況などについて、当該議員と会合しなければならず、秘密のものも含め、交渉関連の適切な文書へのアクセスを提供しなければならないという点が一つと、もう一つは、また、米国通商代表は、下院の歳入委、上院の財政委などの所管の委員会等と交渉について緊密かつ適時に協議し、十分に知らせなければならないという内容があるというふうに承知しております。

○玄葉委員 私は、このTPA法案の情報アクセスの部分は、正直、わからなかったんです。二、三カ月前に、ある方から聞いて、ああ、そういう内容になっているのかと。議員が、恐らく守秘義務を前提だと思うんですけれども、そういう形で、それぞれが情報にそこまでアクセスを保障させる法案だなどというのは、私は少々驚いたのであります。
 ただ、実は日本でも、農林水産委員会などで、「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。」こう書いてあるわけであります。果たして、それができているのかといえば、私は、不十分というふうに申し上げざるを得ないのかなというふうに思っています。
 そこで、我々として、これは他党とも協力をしながらでありますが、TPPなどの情報開示法案を提出するということを考えております。それは、通商交渉における政府による情報提供を義務化するものでありますが、ただし、その際は、一つの方法として、議院運営委員会の申し合わせなどによって国会議員の守秘義務をきちっと担保するという前提であります。
 そういった情報開示法案をこれから速やかに提出したいというふうに考えておりますけれども、その点、岸田外務大臣、いかがお考えですか。

○岸田国務大臣 具体的な法案、恐らく議員立法という形になるかと思いますが、こうした法案につきましては、議会の皆様方に取り扱い、中身についてはお任せするしかありませんが、基本的な考え方として、我が国として国益に資する外交交渉、通商交渉をしっかり進めなければならないという課題と、一方で、政府として、議会あるいは国民に対してしっかり説明責任を果たさなければいけないという課題と、これはともに大切な課題であります。
 この二つの課題を両立させるためにはどうするべきなのか、こうしたことについてしっかりと議論をしていくことは大変重要なことではないかと考えます。

○玄葉委員 もう時間が来ましたので終わりますが、最後に、TPP、このままいくとモメンタムが失われるおそれが出てきたというふうに申し上げてもよいところがあると思います。
 つまり、日米がまとまらないので全体がおくれているという状況が生まれているわけでありますけれども、これは外務大臣として、やはりこのことについてどういうふうに具体的に加速させていくのか、柔軟性をお互いが発揮すべきだ、こう時々おっしゃっておられますけれども、どう具体的に発揮されるべきなのか、そのことを含めて、最後にお願いをしたいと思います。

○岸田国務大臣 まず、TPP交渉につきましては、アジア太平洋地域に新たな経済ルールをつくるという意味からも、さらには、この地域の戦略的な環境を考えましても、大変重要な意味があると考えています。
 こうした大切なTPP交渉につきましては、我が国としましては、まず、早期の妥結に向けて引き続き努力をしていかなければならないと思っていますが、今回の日米首脳会談の際に、一つの節目として、協議が精力的に行われました。その結果として、日米間の重要な懸案について道筋を確認できたということは前進であったと評価をしています。
 この大切なTPP交渉、多国間交渉でもあり、そして、パッケージとして交渉していかなければなりません。その中にあって、日米両国は大変大きな責任を担っていると存じます。
 ぜひ、しっかりと、早期妥結に向けて我が国も貢献をしていきたいと考えています。

○玄葉委員 終わります。どうもありがとうございました。
 

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